こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
ロードバイクに乗り慣れて中級者になると、トレーニング内容を考えなければならなくなります。
初心者の時のように、ただ乗っていれば速くなることはもうありません。
とはいえ、どうトレーニングをしていけばいいか分からない人も多いはずです。
今回のテーマは、中級者のトレーニング方法のまとめです。
なお、僕が定義する中級者とは、以下のレベルの方々です。
- 100㎞以上楽に走り切れる
- ヒルクライムのタイム短縮を目指している
- レースやイベントの参加を検討している(上位は目指していない)
まだまだ初心者かな、と思う方はこちらの記事をご覧ください。
中級者は何を鍛えるべき?
中級者に足りないもの
上級者は持っていて、中級者に足りないものを挙げてみましょう。
- 脚力
- きれいなフォーム
- 無駄のないペダリングスキル
- 柔軟性(個人差あり)
- 集団走行スキル
脚力は説明不要ですね。
力強くペダルを踏み続けるための筋力と心肺機能の力のことです。
トレーニングというと、脚力だけが注目されがちですが、他のものにも注意しましょう。
中級者でもフォームやペダリングスキルといった技術的要素や、柔軟性のような身体の基本要素が足りていない人が結構多いです。
いくらトレーニングしてもタイムがなかなか伸びない人は、これらが足りていないことが原因です。
レースに出る予定の人は、集団走行をする必要がありますので、集団走行スキルも磨いておく必要があります。
では、それぞれ詳しく説明していきましょう。
筋持久力と心肺機能を鍛えて脚力を向上させる
脚力を構成する要素は、大きく筋持久力と心肺機能に分けられます。
筋持久力は、重いギアを長時間漕ぎ続けるための、持久力につながる要素です。
心肺機能は、短時間(10分以内)高出力を出す時に必要な、インターバル耐性につながる要素です。
脚力にはもう1つ、スプリントに必要な‟瞬発力”という要素もあるのですが、中級者には必要ないので、今回は割愛しますね。
中級者の脚力は、筋持久力と心肺機能で決まると思っておいてOKです。
筋持久力と心肺機能、どちらを強化したいかでトレーニングメニューは変わります。
メニューをこなす時は、どちらを今鍛えているのか、知っておく必要があります。
覚えておいてくださいね。
具体的なメニューは後ほど紹介します。
フォームとペダリングスキルが伸びしろを決める
フォームやペダリングスキルはロードバイクの基礎です。
これらがきれいかどうかで、トレーニングで脚力がどれくらいつくか変わってきます。
フォームとペダリングスキルで、今後の伸びしろを決まるといっても過言ではありません。
これらが不足していると、体の故障にもつながりやすいので、なるべく改善しておきましょう。
以下の記事を参考にしてください。
ペダリングにおいて、注意しなければならないことがあります。
それは、平地と坂道でペダリングの仕方が少し変わるということです。
中級者になるとヒルクライムは避けられないので、今まで平坦しか練習してこなかった人は、積極的に坂道も登るようにしましょう。
ヒルクライムはペダリングスキル向上につながりやすいので、おすすめですよ!
柔軟性を上げてフォームやペダリングをきれいに
中級者の場合、フォームやペダリングスキルが上達しない原因は、練習量の問題だけではないかもしれません。
柔軟性の不足が、フォームやペダリングの妨げになっていることがよくあります。
ロードバイクにおいて特に重要なのが、股関節の柔軟性です。
ペダリングは股関節を起点に行われるからです。
柔軟性をつけるには、毎日のストレッチが必要です。
柔軟性に自信がない方は、毎日のストレッチを習慣にしてみましょう。
ストレッチの具体的な方法に関しては、こちらの記事をご覧ください。
レースに出るなら集団走行の練習も
最後に安全にレースを楽しむために必要な、集団走行の話もしておきましょう。
レースは基本的に複数で行うものです。
そのためたくさんの人に囲まれながら走ることになります。
普段田舎道しか運転しないドライバーが、いきなり都心の高速道路を走ったら危ないですよね?
ロードバイクも同じです。
1人または少人数で走るだけでは、集団走行のスキルは身に付きません。
最低でも5人以上と集団走行する練習はしておきたいものです。
集団走行のスキル不足は、レース中の事故につながります。
他の人に迷惑をかけないためにも、練習しておきましょうね。
集団走行のテクニックやマナーに関してはこちらの記事をご覧ください。
中級者におすすめのトレーニングメニュー
中級者におすすめはL2~L5のトレーニング
中級者の脚力アップに必要なトレーニングはL2~L5の強度のトレーニングです。
L~というのは、パワートレーニングでの強度の単位で、数字が上がるほど強度の高いトレーニングになります。
トレーニングの基本単位は強度×時間ですので、中級以上のトレーニングに強度管理は欠かせません。
パワーメーターを持っていない方は、最低でも心拍計は用意しておきましょう。
心拍数を使ってトレーニングする場合は、最大心拍数を元にトレーニングゾーンを変換しましょう。
60-70%→L2
70-80%→L3
80-90%→L4
90%以上→L5
と変換すれば、パワーメーターと同様のトレーニングが出来ますよ!
心拍を使ったトレーニングについての詳細は、こちらをご覧ください。
では、それぞれのトレーニングゾーンのおすすめメニューを紹介していきます。
もっといろいろなメニューが知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
LSD
トレーニングゾーンL2の有名なメニューです。Long Slow Distanceの頭文字で、ゆっくり遠くまで、という意味です。強度が低いので楽しく走れますが、長時間走る必要があるのがデメリットです。
効果
- 全身耐久性の向上
- ペダリングスキルの上達
- 基礎的なライディングテクニックの上達
方法
ケイデンス:90〜110rpm
走行時間:2〜6時間
休憩時間:0〜20分(必要に応じて)
本数:1本
勾配:いろいろな勾配を満遍なく含むコースで
テンポ走
トレーニングゾーンL3のおすすめメニューです。そこそこのペースで中~長時間走るメニューで、筋持久力アップに最も有効です。LSDに比べて短時間で終わることがメリットです。
効果
- 筋持久力の向上
- 高速巡航スキルアップ
方法
ケイデンス:70〜80rpm
走行時間:1〜2時間
休憩時間:0〜20分
本数:1〜3本
勾配:いろいろな勾配を満遍なく含むコースで
LTインターバル
トレーニングゾーンL4のおすすめメニューです。筋持久力と心肺機能アップ、どちらにも効果があります。プロも練習によく取り入れるメニューで脚力アップに重要なメニューです。ただし結構きついので、きついトレーニングが苦手な方は別のメニューでもいいかもしれません。
効果
- 筋持久力の向上
- 心肺機能の向上
- FTPの向上
- ヒルクライム力アップ
方法
ケイデンス:90rpm
走行時間:10分〜30分
休憩時間:5〜15分
本数:2〜4本
勾配:目的に合わせて
スピードインターバル
トレーニングゾーンL5のメニューです。かなりきついですが、すぐ終わるため時間に余裕がない人におすすめです。LTインターバルがきつく感じる人は、テンポ走とスピードインターバルを組み合わせると、筋持久力と心肺機能アップにいいですよ!
効果
- 心肺機能の強化
- レースでのペースアップ対応力の向上
方法
ケイデンス:90〜100rpm
走行時間:3〜6分
休憩時間:3〜6分
本数:2〜5本
勾配:目的に応じて(レースでペースアップが予測されるところの勾配)
おすすめのトレーニングスケジュール
おすすめのトレーニング頻度
理想のトレーニング頻度は、週4回か週7回です。
ほとんどの有名なホビーレーサーのトレーニング頻度が、このどちらかだからです。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
量が全てではありませんが、やはりトレーニング量も大事です。
かなり大変ですが、本気で速くなりたいなら、頑張ってください。
ただ、「週4回もやってられるか!」という人もいますよね。
むしろ、そう思う人が大半なんじゃないかと思います。
そういう方は、無理のない範囲でなるべくトレーニング時間を確保して下さい。
最低でも週2回はやっておきたいところです。
忙しい人向けのスケジュール例も後ほど紹介しますね。
多様な強度や種類のメニューを組み合わせた方が効果的
トレーニング頻度と同じくらい大切なのが、トレーニングの内容です。
結論から言えば、同じメニューをひたすらやるよりも、いろいろな強度や種類のメニューをこなした方が、よく伸びます。
これは科学的に証明されていて、サーキットトレーニング(短時間のサイクルで様々な課題をする練習)はその考えから生まれた練習方法です。
ですので、トレーニングメニューはバリエーションを豊かにしましょう。
2回連続で同じメニューをするのは、基本的に避けましょう。
時間に余裕のある人
週4回トレーニングが出来る人の1週間のスケジュール例です。
月曜:休息日
火曜:L5(スピードインターバル)
水曜:休息日
木曜:L4(LTインターバル)
金曜:休息日
土曜:L3+L4(テンポ走+SST)
日曜:L2+L4(LSD+筋持久インターバル)
平日は仕事後に1時間、休日は4~8時間トレーニングをするイメージです。
L2~L5までのメニューを幅広くこなし、中級者にとって重要なL4のトレーニングを多めに取り入れています。
休日はL4メニューができる場所までの移動を、LSDやテンポ走でこなしましょう。
家周辺の練習環境がよっぽど悪いのでなければ、車で移動するのはもったいないです。
時間に余裕のない人
仕事や家庭があるから週2が限界!という方向けのスケジュール例です。
月曜:休息日
火曜:休息日
水曜:L5(スピードインターバル)
木曜:休息日
金曜:休息日
土曜か日曜のどちらか:L3+L4(テンポ走+LTインターバル)
水曜に30分、土日のどちらかで4時間のトレーニングをするイメージです。
水曜日に練習時間を確保するのがきついかもしれませんが、頑張りましょう。
3日以上休むとトレーニング効果が落ちやすいからです。
水曜日にトレーニングしておくと、十分トレーニング効果が期待できますよ!
メニュー構成は、強度の高いメニューを多めに設定しています。
時間のかかるL2メニューは省略して、きついL3~L5メニューで効率的に脚力をつけましょう。
少ない練習時間を補うために、トレーニング中は必ず集中して行いましょう。
特に、フォームやペダリングに気を使って下さいね。
ロードバイクに乗れない日は、代わりに筋トレをいれるのも有効ですよ!
まとめ
最後におさらいをしましょう。
中級者のロードバイクトレーニングのポイントは以下の通りです。
- 脚力、フォーム、ペダリングスキルを鍛えましょう
- トレーニングにはパワーメーターか心拍計を使いましょう
- トレーニング頻度の理想は週4か週7、最低でも週2はしたい
- メニューはL2~L5を中心に、様々なメニューをこなすと効果的
中級レベルになると、特別な練習は必要ありませんが、ある程度の強度とトレーニング量が必要になってきます。
今回紹介したメニューを、日々コツコツこなしていけば、徐々に速く走れるようになってきます。
元プロロードレーサーの土井雪広選手は、L2~L5の練習だけでプロになってしまったそうです。
才能のある人がやれば、それくらいの成長が期待できるトレーニングだということですね。
繰り返しになりますが、伸びしろを決めるのはフォームやペダリングスキルです。
伸び悩んでいるなら、それは練習量ではなく技術不足のせいかもしれません。
皆、メニュー内容ばかり気にしがちですが、これだけは忘れないでいてください。
頑張って練習して、上級者の仲間入りをしましょうね!
最後までお読みいただきありがとうございました。