こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
最近はパワーメーターを使ったパワートレーニングがブームですよね。
パワートレーニングで一気に成績が上がったプロの選手も多くいます。
でも
「パワーメーターを買ったけど、使い方がイマイチ分からない!」
「パワートレーニングを調べてみたけど、難しくてよく分からない」
なんて言って、パワーメーターを持て余している人も多いのではないでしょうか?
すごくもったいないです!
パワーメーターを持っているなら、とことん使って、速くなってやりましょう。
今回のテーマは、パワートレーニングの方法についてです。
初めての方でもできるよう、分かりやすく紹介しますので、是非お付き合いください!
STEP1:自分の実力(パワー)を知りましょう
FTPとは
FTP抜きにパワートレーニングを始めることは出来ません。
FTPとはFunctional Threshold Powerの略で、その人が「1時間出し続けられる最大パワー」のことです。
もっと簡単に言うと、ロードバイクの「戦闘力」みたいなものです(笑)
パワートレーニングを始める場合、このFTPを参考に、適切なメニューを選択していきます。
FTPの計測方法
実走で計測
FTPは実走で計測するのが、一番正しい値が出ます。
20分以上ノンストップで走り続けられる峠や平坦コースがある方は、そこで計測しましょう。
- ウォーミングアップも兼ねて計測地点まで移動
- 20分の全力走
- 以上です
20分全力走の平均出力(ワット)に95%かけた数字が、あなたのFTPです。
すでにデータがある方は、それを参考にFTPを算出してもOKです。
1時間くらいかかるヒルクライムの記録があれば、一番いいです。
その値が、そのままあなたのFTPだからです。
でも、都合のいいコースがなかなかない場合もあります。
そんな時は、ローラー台を使った計測方法もあります。
ローラー台で計測
ローラー台でも測定方法は、基本的に変わりません。
- ウォーミングアップ(5分全力走+10分の休憩)
- 20分全力走
- 以上です
実走の時と違うのは、ウォーミングアップをちゃんととる必要があることだけです。
休憩は、停まって休むのではなく、軽く漕ぎながら休憩するようにしましょう。
ローラー台は飽きやすく、モチベーションが上がりません。
そのため、実際のFTPより低めに出てしまう傾向があります。
タイミングがあれば、実走でも計測するようにしたいですね。
FTPを知ればわかること
さて、パワートレーニングのメニュー決定に必要なFTPですが、他にも分かることがあります。
詳しくみていきましょう。
実力
FTPは自分のロードバイクの強さ、実力を反映しています。
ロードバイクの速さには、瞬発力や走行テクニックなども影響するため、‟FTPが高い=速い”とは言い切ません。
しかし、FTPの高さはロードバイクの速さと密接に関連しています。
「FTPはその人の強さや実力を示している」といっても過言ではないわけです。
FTPは体重によって左右されるため、実力を確認したい時は、FTPを体重で割ったパワーウェイトレシオ(W/kg)という値を使用します。
ざっくりとですが、パワーウェイトレシオが
3W/kg以下→初心者
3~4W/kg→中級者
4~5W/kg→上級者
5W/kg以上→プロ
といったイメージで良いかと思います。
この値を見れば、自分が今どれくらいの強さなのか、大体分かります。
レースで上位を狙う場合、最低でも4W/kgはパワーウェイトレシオが必要です。
脚質
FTPを基準に、自分の脚質を知ることができます。
自分の得意分野が何か、気になるものですよね?
少々余談になりますので、興味がない方は読み飛ばしてください。
脚質とは、おおまかにいうと、短距離型か長距離型かということです。
ロードバイクの場合、短距離が得意な人はスプリンター、長距離が得意な人はクライマーと呼ばれます。
本当はもっと詳しくいろいろな脚質があるんですが、ここでは簡単に2種類だけ説明します。
脚質を知るためには、FTPの他に、5秒と1分、5分の全力走のデータがそれぞれ必要です。
それぞれの平均パワーを以下のように検証して下さい。
5秒全力走→FTPの4.3倍より高い?
1分全力走→FTPの2.1倍より高い?
5分全力走→FTPの1.2倍より高い?
比べてもののうち、高かったところが得意分野です。
5秒や1分が高かった場合は、短距離型です。
5分が高かったり、全て高くなかったりした場合は、長距離型です。
簡単ですね。
脚質はトレーニングの過程で変わることもあるので、あくまで傾向ですが、参考にしておきましょう。
STEP2:トレーニングメニューを立てましょう
目標からメニューを逆算
パワートレーニングを行う前に、必ず決めなければいけないのが、目標です。
目標から逆算して、トレーニングメニューを作るからです。
どういうことでしょうか?
たとえば目標が「富士ヒルでのタイム短縮」だとしましょう。
ヒルクライムの場合、1~2時間全力走をしなければなりません。
1~2時間の全力走というと、FTPの90~100%のパワーで走ることになります。
つまりパワートレーニングでは、FTP90~100%で2時間走る練習を中心に行います。
なんとなくイメージができたでしょうか?
よくある目標から、トレーニングメニューを逆算する例を紹介しておきましょう。
ロングライドの巡航速度を上げたい→FTP75~90%のメニューで持久力強化
ヒルクライムが速くなりたい→FTP90~105%のメニューでFTP強化
レースで序盤から千切れてしまう→FTP105~120%のメニューでペースアップ対応力強化
トレーニングスケジュールの組み方
トレーニングスケジュールを決めるためには
- トレーニングの頻度
- トレーニングメニュー
を決める必要があります。
トレーニングの頻度
理想のトレーニング頻度は、週7回か週4回です。
時間がある人は週7回、時間のない人は週4回トレーニングをこなしましょう。
もっと時間のない人は、週3回以下でも構いません。
ただレースに出る人は、1回の時間は短くてもいいので、週4回は確保したいところです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
トレーニングメニューの選び方
いよいよトレーニングメニューを決めましょう。
トレーニングゾーンについて少し説明しておきますね。
トレーニングゾーンとは、トレーニング強度のことだと思って下さい。
強度を7段階に分けたものをトレーニングゾーンと言います。
具体的には
L1:FTP55%以下(ウォーミングアップ)
L2:FTP55〜75%(ロングライド)
L3:FTP75〜90%(高速巡航)
L4:FTP90〜105%(ヒルクライム)
L5:FTP105〜120%(ペースアップ)
L6:FTP120〜150%(アタック)
L7:FTP150%(スプリント)
という感じになります。
FTPが200ワットの人が、160ワットでトレーニングした場合、トレーニングゾーンはL3になります。
先ほど目標から逆算してトレーニングの強度を決めましょう、というお話をさせて頂きました。
要は、鍛えたい強度に合うゾーンのメニューを選べばいいわけです。
L3強度の練習が必要な人はL3メニュー、L4強度の練習はL4メニューという感じですね。
メニューに余裕のある人は、鍛えたいゾーンの、前後の強度のゾーンも練習しておくと、より効果的です。
週7回練習できて、L4中心の練習をする場合は、L3やL5のメニューも週1回ずつくらいやっておくイメージです。
トレーニングメニューの紹介
トレーニングメニューはたくさんあります。
たくさんのメニューを強度別に紹介している記事がありますので、こちらをご覧ください。
STEP3:実践しましょう
実践時の注意点
練習スケジュールが決まれば、後は実践するのみです。
何事も継続が大事です。
3ヶ月みっちり正しい練習がつめれば、確実に今より速くなれるでしょう。
ただし練習期間中、オーバートレーニングだけには注意してください!
パワートレーニングの場合、細かく数字で練習内容が決められます。
そのため、体調に合わせてトレーニング量の微調整が出来ません。
体調の悪さを感じているのに、無理にスケジュール通りメニューをこなそうとしていると、オーバートレーニングに陥る危険があります。
一度オーバートレーニングに陥ると、しばらく強度の高い練習が出来なくなります。
最悪の場合、ロードバイクが嫌いになってしまう恐れもあります。
楽しくロードバイクで走るために、オーバートレーニングには注意しなければなりません。
スケジュールは適宜変更しても構いませんので、体調に合わせてトレーニングを行うようにしましょうね。
まとめ
最後にパワートレーニングを始めるための流れをおさらいしておきましょう。
- 自分のFTPを計測する
- 目標から逆算して練習メニュー、スケジュールを決める
- オーバートレーニングに気を付けて実践する
以上です。
一番悩むのが、やはりメニューの選択だと思います。
最初は難しく考えずに、いろいろなメニューをこなしてみて下さい。
きっと自分に合うお気に入りのメニューが見つかるはずです。
メニューを選ぶのは、楽しくもあります。
トレーニングはつらいものですが、楽しいものでなくてはいけません。
楽しくなければ、続けられませんからね。
パワートレーニングを、是非楽しんで下さい。
楽しくパワートレーニングをして、もっと速く走れるようになりましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。