こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
より速くヒルクライムができるようになるのは、全クライマーの夢ですよね。
最近流行のパワートレーニングは、実はヒルクライムと非常に相性がいいんです。
ヒルクライムでは、パワーが上がればタイムにそのまま反映されますからね。
ではパワーを上げるためには、どうしたらいいのでしょうか?
今回のテーマはヒルクライムが速くなるパワートレーニングの方法についてです。
速くなるために必要なL4周辺の練習メニューを中心に、説明していきますね。
ヒルクライムが速くなるためには
FTPを上げることが一番重要
ヒルクライムが速くなりたいなら、FTPを上げるのが一番効果的です。
正確には、FTPを体重で割ったパワーウェイトレシオ(W/kg)が、ヒルクライムのタイムに直結します。
平坦では、空気抵抗の影響が大きいため、パワー以外の部分も速さに影響してきます。
平坦では、FTPだけでなく空気抵抗についても考えなければいけません。
でもヒルクライムでは、空気抵抗よりも重力の影響が強いです。
そのため、FTPと体重によってヒルクライムの速さがほとんど決まります。
つまりヒルクライムでは、FTPを向上させることが一番重要となるわけです。
ちなみに減量も効果的なんですが、ヒルクライムのための減量は、普通の減量とは違います。
興味があればこちらの記事もご覧ください。
FTPを上げるために必要なフィジカル
FTPを構成しているのは、フィジカルとテクニックです。
まずはフィジカルについて解説していきましょう。
FTPを上げるために必要なフィジカルは、筋持久力と心肺機能です。
筋持久力は、最後まで踏み切るための筋力を出すために必要です。
心肺機能は、負荷が高い場面で、呼吸が乱れて苦しくならないために必要です。
覚えておいてほしいのは、この2つを鍛えるためには、それぞれ別のメニューをしなければいけないということです。
後ほどメニューを紹介する時に、詳しく説明しますね。
FTPを上げるには、筋力と心肺機能を鍛えるメニューが必要だということだけ、覚えておいて下さい。
FTPを上げるために必要なテクニック
FTPを上げるために必要なテクニックは、ペダリングスキルとペーシングスキルです。
ペダリングスキルは、ペダリング効率を上げて、高負荷でも疲れにくくするために必要です。
ペーシングスキルは、序盤でオーバーペースになり、終盤で失速しすぎないために必要です。
序盤から徐々に出力を上げ、終盤に最大出力を発揮できるのが理想のペーシングです。
テクニックは、この後紹介するパワートレーニングでは身に付きません。
正しい知識をつけた上で、実践練習が必要になります。
テクニック不足を感じている方は、こちらの記事を参考にしてください。
L4中心のパワートレーニングでヒルクライム攻略
L3、L4、L5のトレーニングメニューを紹介
まずはざっとメニューを紹介しますね。
いずれもヒルクライムのタイム短縮に効果的なメニューです。
後ほどこれらのメニューを組み合わせた練習スケジュールを紹介します。
テンポ走(L3)
筋持久力の向上に効果的
強度:FTP75〜90%
ケイデンス:70〜80rpm
走行時間:1〜2時間
休憩時間:0〜20分
本数:1〜3本
勾配:いろいろな勾配を満遍なく含むコースで
SST:スイートスポット走(L3~L4)
筋持久力の向上に効果的
強度:FTP88〜92%
ケイデンス:90rpm
走行時間:20分〜1時間
休憩時間:10〜30分
本数:1〜3本
勾配:本番の勾配に合わせて
LTインターバル(L4)
筋持久力と心肺機能、両方の向上に効果的
強度:FTP90~105%
ケイデンス:90rpm
走行時間:10分〜30分
休憩時間:5〜15分
本数:2〜4本
勾配:本番の勾配に合わせて
筋持久インターバル(L4)
筋持久力の向上に効果的
強度:FTP90~105%
ケイデンス:50〜70rpm
走行時間:5〜20分
休憩時間:10分
本数:2〜4本
勾配:急勾配
VO2maxインターバル(L5)
心肺機能の向上に効果的
強度:FTP105〜120%
ケイデンス:100〜120rpm
走行時間:2分
休憩時間:2分
本数:3〜5本×2セット
勾配:緩斜面
スピードインターバル(L5)
心肺機能の向上に効果的
強度:FTP105〜120%
ケイデンス:90〜100rpm
走行時間:3〜6分
休憩時間:3〜6分
本数:2〜5本
勾配:緩斜面
各メニューの詳細はこちらをご覧ください。
L3,L4等のゾーンの説明もしています。
L4中心のトレーニングスケジュール(12週)
トレーニングメニューのポイントは
- 前半の6週間で筋持久力を鍛える(L3〜L4中心)
- 後半の6週間は心肺機能も強化する(L4〜L5中心)
- 全体を通してL4メニューが一番多くなるように構成
- トレーニング頻度は週4日
- 最後の3週間は疲労を抜きつつ効果を持続させる
となります。
L4中心にするのは、ヒルクライムの強度がL4で、FTP向上にも一番効果的なゾーンだからです。
トレーニング頻度が週4がいい理由に関しては、こちらもご覧ください。
※語尾のインターバルは省略
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | 日曜日 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1〜3週 | 休み | LT | 休み | 筋持久 | 休み | SST | テンポ |
4〜6週 | 休み | LT | 休み | 筋持久 | 休み | LT | SST |
7〜9週 | 休み | スピード | 休み | 筋持久 | 休み | LT | LT |
10週〜 | 休み | VO2 max | 休み | スピード | 休み | VO2 max | LT |
L3とL5のメニューも入れる理由
L4が一番重要なんですが、L3とL5のメニューも入れる必要があります。
「なんで?L4だけでもいいんじゃないの?」
と疑問に思う方もいると思うので、説明しますね。
先ほど説明した通り、FTPには、筋持久力と心肺機能が影響します。
L4は筋力と心肺機能、どちらも同時に鍛えることができるので、重要なメニューです。
でも筋力と心肺機能、個別に鍛えるメニューがあった方が、より効果的だと思いませんか?
L3強度のメニューは、筋持久力の向上に特化したメニューです。
L5強度のメニューは、心肺機能の向上に特化したメニューです。
たまには筋持久力重視で鍛える日や、心肺機能重視で鍛える日を作ってあげると、さらに効率的にFTPを向上させることができます。
L4だけでなく、L3やL5のメニューも混ぜるのには、このような理由があるのです。
では最後に、実際にヒルクライム中、パワーメーターをどう活用したらいいのか、活用方法をご紹介します。
ヒルクライム中のパワーメーターの使い方
ヒルクライム中、パワーメーターはペーシングの役に立ちます。
ベテランになると、パワーメーターがなくても上手にペーシングが出来ます。
しかし初心者はそうではありません。
ほとんどの初心者は、序盤にペースを上げてしまい、後半にガス欠しています。
序盤にパワーメーターを使うことで、オーバーペースの予防になるわけです。
具体的にどんな感じで使うのか、僕のおすすめの方法を紹介しましょう。
最初の5分:FTP90%くらいを維持
中盤:FTP100%前後を維持
最後の10分:FTP105%以上で追い込む
この方法ならガス欠せずに、持っている力をちゃんと出し切ることが出来ます。
勘のいい人なら気づいたかもしれませんが、最後の10分はL4ではなく、L5の強度です。
L5のメニューもきっちりこなしている人は、最後の10分でかなり追い込めるはずですよ!
L5の練習も忘れずにしておきましょうね。
まとめ
最後におさらいをしましょう。
ヒルクライムが速くなるためのパワートレーニングのポイントは
- タイム短縮にはFTPの向上が1番重要
- L3とL5メニューもやりつつ、L4メニュー中心に練習
- 練習期間は3カ月(12週)とれればベスト
です。
パワートレーニングを正しく行えば、今よりもっと速く登れるようになるはずです。
1分や2分縮めるくらい、十分可能です。
なんなら10分でもいけます(笑)
是非パワーメーターをトレーニングに有効活用してくださいね!
頑張りましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。