こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
ヒルクライムの練習がしたい時に、家の近くに峠がないと困りますよね。
でもご安心下さい!室内でもちゃんとヒルクライムのトレーニングはできます。
今回は、ヒルクライムに向けた室内トレーニングのメニューを紹介します。
速く登れるようになりたい方は、是非知っておいてください!
室内で出来るヒルクライム用トレーニングメニュー
ヒルクライムに必要な能力
ペダリングスキル
ヒルクライムでは平地以上にペダリングスキルが求められ、ヒルクライムが速い人は例外なくペダリングがきれいです。
平地と違い、ヒルクライムでは力を入れるのを辞めるとすぐに減速してしまいます。
そのためヒルクライム中は、いかに減速しないように一定の力をペダルに加え続けることができるかが求められます。
ペダリングにムラがある方(上死点や下死点で力が抜けてしまう方)は、不必要な加減速を強いられるので、無駄なエネルギーが必要になってしまうのです。
ペダリングスキルに自信がない方は、まずペダリングスキルの練習から始めることをおすすめします。
筋持久力
フィジカルの中で、ヒルクライムで一番重要になるのが筋持久力です。
ヒルクライム中は、常に一定の力で踏み続けなければならず、休憩できません。
筋持久力がなければすぐに疲れてしまい、いいタイムは出せません。
心肺機能
筋持久力をベースとするなら、心肺機能はブースターです。
ここぞという時の加速や頑張りに必要です。
心肺機能が高いと、勾配が厳しい所でも一時的に出力を上げて一定ペースを保つことができます。
ヒルクライム中はなるべく加減速しない方が効率的なので、心肺機能が高いほど速く登ることができるわけです。
筋持久力がすでについている上級者ほど、心肺機能が必要になります。
ペース配分
ペース配分はヒルクライム攻略のキモです。
特に初心者の場合、気をつけていても、たいていオーバーペースになってしまいます。
ペース配分ができるようになるのは、結局は経験を積むことしかないんですが、対策がないわけではありません。
ペース配分のコツを紹介しておきましょう。
- 序盤はウォームアップくらいの感覚で漕ぐ(必ず後から挽回できます)
- 中盤から気持ちいいペースまで上げる(ここでも踏みすぎないように)
- 終盤(ラスト1/3)は全開(ここで全開に出来なければすでにオーバーペースです)
ヒルクライム用メニュー
ランプ走
軽い負荷から、徐々に強い負荷をかけていくメニューです。終盤に向けて徐々にペースを上げていく点でヒルクライムのペース配分に似ており、ペース配分の感覚をつかむ練習にもなります。初心者はこのメニューだけでもいいくらい、ヒルクライム向けのメニューです。
効果:筋持久力と心肺機能強化、ペース配分の感覚習得
- 時間はヒルクライムの目標タイム+5分くらい
- ギアはアウターで、1番軽い状態から始める(慣れてきたら少し重い状態からでもOK)
- ケイデンスは80前後
- 開始から5分毎にギアを重くしていく(一番きついギアで終われるように調整)
LT走
FTP(走力)向上に1番効果のあるトレーニング方法で、プロも頻繁に行なっています。ランプ走と効果は似ており、どちらがいいかは好みによります。
効果:筋持久力、心肺機能強化
- 時間は20分×数セット、合計時間が目標タイム+5分になるように調整(セット間の休憩は10分程度)
- 負荷は最大心拍の80%程度の強度(FTPだと90%)
- ケイデンスは80〜90
※最大心拍は220ー年齢です。
SI(スピードインターバル)
短い時間を高強度で走るインターバル練習です。紹介したメニューの中では、心肺機能強化に一番効果的です。本番が近くなったタイミングで取り入れると有効です。
効果:心肺機能強化
- 時間は3〜5分×2〜5セット(最低でも合計で10分以上出来ればOK、セット間休憩は3分)
- 最後まで漕ぎ切れる力で、出来る限り速く漕ぎます
- ケイデンスは90〜100
筋持久インターバル
低いケイデンス、重い負荷で走るインターバル練習です。その名の通り筋持久力強化に一番有効です。ヒルクライムで最後まで脚がもたない人は積極的に取り入れましょう。
効果:筋持久力強化
- 最後まで走りきれる範囲で出来る限り速く走りましょう(FTP80〜90%、最大心拍80%)
- ケイデンスは60bpm前後
- 5〜20分を2〜4セット行いましょう(合計20分〜1時間になるように)
- 休憩は走った時間の半分(5〜15分)、脚を止めずに軽く回しましょう
1週間のメニュー例
メニュー構成の原則
- 今回紹介するのは室内練中心のメニュー
- 実走も週1以上行う(理由は“室内トレーニングの限界”を参照)
- なるべく多くの種類のメニューを行う
- 休息日を週1以上入れる
実走のメニューに関して詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
タイム短縮を目指す方(中級者向けメニュー)
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | 日曜日 |
休息日 | SI | LT走 | 筋持久インターバル | 休息日 | ランプ走 | 実走 LSD等 |
大会で上位を目指す方(上級者向けメニュー)
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | 日曜日 |
休息日 | SI | 筋持久インターバル | LT走か ランプ走 | SI | LT走か ランプ走 | 実走 テンポ走 |
室内トレーニングのメリット
移動時間がかからない
実走でのトレーニングは移動に1時間〜3時間程度かかりますが、室内であればたった10分で準備できます。
実走練習だけの人では諦めてしまう空き時間でもトレーニングできるので、室内練だけでも確実にトレーニング量を稼ぐことができます。
室内練習の一番のメリットであり、時間のないホビーレーサーにとってこのメリットは大きいですはずです。
狙った時間で確実にトレーニングを積める
室内練であれば、確実に狙った時間分の練習ができます。
実際の峠ではたとえば20分ピッタリで登り切るなんて不可能で、どうしても15〜25分なんていう大ざっぱな練習時間になります。
細かく計画を立てて練習したい方には、きっちり決めた時間分練習できる室内練は魅力的です。
負荷調整が自由にできる
負荷調整ができるローラーを使えば、狙った負荷をかけ続けることができます。
重い負荷をかけ続けられる峠ってそうそうないんですよね。
特に筋持久インターバルをやりたい時に、斜度の変化がある峠だとなかなか思うように負荷がかけられません。
室内練ならそんな心配はありません。
3本ローラーならペダリングスキルが上達する
3本ローラーを使えば、ペダリングスキルが上達します。
3本ローラーはバランスが取りにくいため、ヒルクライム以上に綺麗にペダリングすることを求められます。
ヒルクライムでのペダリングスキルの大事さは、さきほど紹介して通りですので、室内練でペダリングスキルが上達するなら嬉しいですよね!
3本ローラーの効果に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧下さい。
室内トレーニングの限界
ペース配分の力は身につかない
メリットも多い反面、ローラーだけでは、勾配の変化の中でペース配分をしなければならないヒルクライムには対応できません。
実走では、勾配が急になった時に速度を落とさないように少し加速したり、緩斜面でも休まないようにしたり、そういったテクニックが鍛えられます。
元ロードレーサーの宮澤崇史さんも著書の中で「現役時代、3回に1回は実走練習を入れるようにしていた」とおっしゃっています。
忙しい方は3回に1回も実走できない方も多いと思いますが、最低でも週1回は実走練習を入れることで、ペース配分のテクニックが身に付きますよ。
ダンシングの練習が出来ない
最近はダンシングができるローラーも発売されてきていますが、いまだほとんどローラーでダンシングの練習はできません。
シッティングだけで登るクライマーも多く、ダンシングはヒルクライムに必須の能力ではありませんが、人によってはダンシングを取り入れることでタイムが短縮できる場合もあります。
ダンシングを活かしたヒルクライムをする方は、実走でダンシングの練習をした方がいいと思います。
室内トレーニングにおすすめのローラー
ローラーは大きく固定ローラーと3本ローラーに分けられ、それぞれ長所と短所があります。
僕は、“室内トレーニングのメリット”で紹介したように、ペダリングスキルが上達する3本ローラーをオススメします。
もちろん室内トレーニングは飽きやすいからZwiftが使える固定ローラーがいいという場合は、そちらでも構いません。
トレーニングにモチベーションは最優先事項ですから、続けられる機材を選ぶべきです。
でも3本ローラーには固定ローラーにはない大きなメリットがあることは覚えておいて下さい。
3本ローラーで僕がオススメなのが、「ミノウラのモッズローラー」です。
安価で十分な耐久性、安定感があり、外付けの負荷装置を後から購入できる点が魅力的なローラーです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?
最後に簡単にまとめましょう。
- ヒルクライムにはペダリングスキル、筋持久力、心肺機能、ペース配分が必要
- 室内練習の際は、鍛えたいものを意識してメニューを作る
- 多種類のメニューを週に1回休息日、実走日を入れてこなすのがポイント
- 室内練習は時間短縮などのメリットがある反面、実走練習もやはり必要
ほとんどの有名なホビーレーサーが室内トレーニングを行っています。
室内トレーニングがいかに有用かわかりますね。
しかし“どう使うか”もしっかり考えなければ、速くなることはできません。
でも、ここまでこの記事を読んでくださった皆さんならもう大丈夫です。
室内トレーニングで、もっと速く登れるようになりましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。