こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
最近のロードバイク界では、”インターバルトレーニング”が流行っていますね。
インターバルトレーニングは確かに有効なトレーニングで、ほとんどの速い選手は練習に取り入れています。
でもいくら良い方法でも、正しいやり方を知らないと意味がありません。
今回のテーマは初心者~中級者の方に向けたインターバルトレーニングの始め方です。
失敗しないインターバルトレーニングの方法を知って、速く走れるようになりましょう!
インターバルトレーニングとは
インターバルトレーニングとは、メニューの途中に休憩を挟むトレーニングのことです。
代表的なものは、5分の全力走+3分の休憩を数セットやるようなトレーニングです。(具体的なメニューは後程紹介します)
休憩を挟まないと続けられないトレーニングはインターバルトレーニングにせざるを得ないので、必然的に高強度のトレーニングが多いです。(一応低強度のインターバルトレーニングもあります)
ここでは高強度インターバルトレーニングのことをインターバルトレーニングとして解説していきますね。
インターバルトレーニングの効果
高強度に強くなる
インターバルトレーニングをすれば、高強度に強くなります。
インターバルトレーニングでは、高強度の負荷を”繰り返し”体にかけることができるからです。
通常の練習では高強度を”何回も”することはありませんよね。
この”何回も負荷をかける”というのが、心肺や筋肉によい刺激を与えてくれます。
その結果、強い心肺や瞬発力が身に付き高強度を以前よりも楽に維持できるようになります。
もちろん高強度に強くなれば、中等強度も引き上げられますので、FTPも向上します。
低~中等強度であれば、通常の練習でも強化は可能です。
しかし高強度は、インターバルトレーニング以外で鍛えることはできません。
スプリントやペースアップなどの高強度に強くなるために、インターバルトレーニングは不可欠です。
インターバル耐性が上がる
インターバルトレーニングをすることで、インターバル耐性がつきます。
インターバル耐性とは何でしょうか?
簡単に言うと、「繰り返しペースアップが出来る耐久性」です。
たとえば休憩を挟んで10本の坂道ダッシュをするとしましょう。
インターバル耐性がない人は、3本目くらいから徐々にタイムが落ち始めるでしょう。
ですがインターバル耐性がある人は、10本目でもタイムが落ちることはありません。
ロングライドで何回も出現する坂道や、ロードレースで何回もされるアタックに対応するために、インターバル耐性は不可欠です。
インターバルトレーニングでは何回も負荷をかけるため、インターバル耐性をつけるのに最適です。
トレーニングのマンネリ化を予防できる
あまり注目されないのですが、実はインターバルトレーニングには、トレーニングのマンネリ化を予防する効果があります。
そのため「高強度で走ったりしないからインターバルトレーニングなんていらない!」なんて人でも、実はインターバルトレーニングが必要かもしれません。
トレーニングのマンネリ化とは、いつも同じメニューばかりでトレーニングの成果が伸び悩んでしまう状態です。
ある程度トレーニングをしてきた人なら、マンネリ化を経験したことがあるのではないでしょうか?
やっぱり誰でも自分の好きなメニューばかりでトレーニングしてしまうので、マンネリ化はよっぽど気を付けていないと起こってしまいます。
そして、手っ取り早くマンネリ化を抜けるのに有効なのが、インターバルトレーニングなのです。
そもそも高負荷のトレーニングはきついので、頻繁にはできません。
そのためトレーニングがマンネリ化している人は、たいてい低強度か中等強度のメニューばかりになっているはずです。
そこに高強度のインターバルトレーニングを少し加えれば、ちょうどいいスパイスになるというわけです。
これがインターバルトレーニングがマンネリ化予防に有効な理由です。
いつも同じメニューやコースでマンネリ化している人は、是非インターバルトレーニングを取り入れることをおすすめしますよ!
インターバルトレーニングのメニュー
初心者におすすめのメニュー
初心者には、体への負担をおさえつつ基礎力(FTP)や心肺機能向上に効果のあるメニューがおすすめです。
初心者がインターバルトレーニングをすると、体を痛める可能性が高いからです(詳しくは後述)。
SST(スイートスポット走)インターバル
効果
- 筋持久力の向上
- 心肺機能の向上
- FTPの向上
方法
強度:FTPの90%
ケイデンス:90rpm
走行時間:20分
休憩時間:10分
本数2〜3本
勾配:目的に合わせて
※強度はFTPの88〜92%に
VO2maxインターバル
効果
- 心肺機能の向上
- 高強度だが、体への負担が少ない
- ペダリングスキルの向上
- レース前日の体慣らしに有効
方法
強度:FTPの110%前後
ケイデンス:100〜120rpm
走行時間:2分
休憩時間:2分
本数:3〜5本×2セット
勾配:平坦か緩斜面
ヒルクライム対策のメニュー
ヒルクライム対策には、ヒルクライムに必要な筋持久力とFTPの向上につながるメニューがおすすめです。
LTインターバル
効果
- 筋持久力の向上
- 心肺機能の向上
- FTPの向上
※SSTの強度を上げたものがLTインターバルです。強度が高い分走行時間が短くなるため、持久性重視のSSTに対して、大きいパワーを出すことを重視しています。
方法
強度:FTPの100%
ケイデンス:90rpm
走行時間:10分〜30分
休憩時間:5〜15分
本数:2〜4本
勾配:坂道
筋持久インターバル
効果
- ヒルクライム用の筋持久力向上
- 遅筋の肥大
方法
強度:FTPの100%
ケイデンス:50〜70rpm
走行時間:5〜20分
休憩時間:10分
本数:2〜4本
勾配:急勾配
ロードレース対策のメニュー
ロードレース対策には、インターバル耐性やスプリント力の向上につながるメニューがおすすめです。
ロードレースに勝つためには、基礎力だけでは不十分で、インターバル耐性やスプリント力が求められるからです。
スピードインターバル
効果
- 心肺機能の強化
- レースでのペースアップ対応力の向上
方法
強度:FTPの110%
ケイデンス:90〜100rpm
走行時間:3〜6分
休憩時間:3〜6分
本数:2〜5本
勾配:目的に応じて(レースでペースアップが予測されるところの勾配)
ハイパワーインターバル
効果
- 乳酸耐性の向上
- 心肺機能の向上
- アタックのキレを向上
方法
強度:FTPの120~150%
ケイデンス:90〜100rpm
走行時間:1分
休憩時間:1分
本数:3〜5本×2〜3セット
勾配:目的に応じて
スプリント練習
効果
- スプリント力の向上
- ペダリングスキルの向上
- 瞬発力の向上
- 速筋の肥大
方法
強度:全力で
ケイデンス:120〜140rpm
走行時間:10〜20秒
休憩時間:5分
本数:3〜5本
勾配:目指すレースのゴール付近の勾配
他にもいろいろなメニューがありますので、よければこちらの記事もご覧ください。
インターバルトレーニングの頻度とタイミング
インターバルトレーニングの頻度
インターバルトレーニングの最適な頻度は目的によって変わります。
- 練習のマンネリ化予防が目的→週1回
- 脚力、インターバル耐性の強化→週3回以上
通常のトレーニングに比べて、インターバルトレーニングは短期間で効果が出やすい反面、短期間で効果が切れてしまう傾向があります。
つまり、高頻度でトレーニングしないと効果が持続しないんです。
ですので理想は2日に1回、少なくても3日に1回は高負荷の練習を入れる必要があります。
そのため理想の頻度は、週3回以上ということになります。
ただ、週3回もインターバルトレーニングをし続けるのは結構きついです。
そのため、必要なタイミングだけインターバルトレーニングをがっつりやる方法がおすすめです。
短期間であれば頑張れますよね。
ではインターバルトレーニングを行う理想のタイミングはいつなのでしょうか?
インターバルトレーニングを行うタイミング
インターバルトレーニングを本格的にするなら本番の5週前~3週前の2週間がおすすめのタイミングです。
本番前に一気に高強度を強化して、そのまま本番に臨むためです。
ここでいう本番は、一番脚力を高めたいタイミングです。
大抵の人はレースが本番だと思いますが、違う場合もあるので、あえて”本番”という表現にしました。
練習を3週前で終わらせるのは、テーパリング(疲労を抜く期間)が必要だからです。
練習が不足していると感じる人は2週前まで頑張ってもいいでしょう。
ただしテーパリング期間中も高めた脚力を維持するために、低負荷のインターバルトレーニング(VO2maxインターバル)を継続することをおすすめします。
ピーキングに関してはこちらの記事で詳しく説明しています。
インターバルトレーニングをする際の注意点と対策
フォームが汚くなる
僕は基本的に初心者にインターバルトレーニングをすすめません。
フォームが未熟な段階でインターバルトレーニングをすると、フォームが汚くなるからです。
強い負荷で漕いでいる時はフォーム何て考えている余裕がないので当然です。
対策
まずは低い負荷でフォームをきれいにしてから高い負荷のトレーニングに移行するのが定石です。
フォームがまだ未完成な人は、インターバルトレーニングのやりすぎには注意しましょう。
初心者には初心者用のメニューから始めることをおすすめします。
体を痛めやすい
フォームやフィジカルが未熟な状態でインターバルトレーニングを頑張りすぎると、体を痛めます。
高負荷の練習は体にも負担をかけるからです。
高い負荷に対応できる体やフォームが出来ていなければ、必ずどこかが痛くなるでしょう。
対策
インターバルトレーニングで体を痛めたら、いったんトレーニングを中止して、低負荷の練習とストレッチや筋トレなどの体づくりの期間を設けましょう。
基礎をつくる練習は地味ですが、後々役に立ちます。
3か月ほどしっかりやれば、インターバルトレーニングを再開しても大丈夫かもしれません。
フィジカルに自信のない方は、以下の記事を参考に体の基礎を作る所からはじめましょう。
きつい
言うまでもないかもしれませんが、インターバルトレーニングはきついです。
きついトレーニングの一番の注意点は、モチベーションが下がってしまうことです。
きつい練習ばかりやっていると、ロードバイクに乗ることが楽しくなくなってきます。
トレーニングに一番大切なのは、モチベーションや楽しさですので、いくらいいトレーニングでも楽しくなければ意味がありません。
モチベーションが下がった状態でいくら頑張っても決して速くなれません。
対策
きついと感じたら、トレーニングの強度を躊躇なく落としましょう。
インターバルトレーニングは確かに効果的なトレーニングですが、インターバルトレーニングをしなくても速くなる方法はあります。
モチベーションが下がるくらいなら、インターバルトレーニングにこだわる必要はありません。
LSDだけで速くなった選手もたくさんいますよ!
まとめ
最後におさらいをしましょう。
インターバルトレーニングは
- 高強度に強くなる
- インターバル耐性がつく
- トレーニングのマンネリ化を防げる
といった効果があり、とても有効なトレーニングです。
今回紹介した目的に合うメニューを週1か週3の頻度で実践しましょう。
レースに出る人はレースの5週前~3週前にかけて特に集中的にインターバルトレーニングを取り入れると効果的です。
またインターバルトレーニングには、
- フォームが乱れる
- 体を痛める
- きつくてモチベーションが下がる
といった欠点もありますので注意しましょう。
いくつか注意点がありますが、インターバルトレーニングは速くなるために非常に有効なトレーニング方法で、速い人はほとんどがインターバルトレーニングをしています。
やったことのない人は、是非一度試してみて下さい。
正しいトレーニングで速くなりましょうね!
最後までお読みいただきありがとうございました。