こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
ダンシングでロードバイクを揺らしながら、坂道を駆け上っていくのって、カッコいいですよね。
ヒルクライムにおいて、ダンシングは大きな武器になります。
でも、本当にダンシングを有効活用できていますか?
なんとなく、適当なタイミングで使ってしまっている方も多いんじゃないでしょうか。
今回のテーマは、ヒルクライムでダンシングを活用する場面やテクニックについてです。
ヒルクライムにおけるダンシングの基礎知識
2種類のダンシングを使い分ける
ヒルクライムでは、2種類のダンシングを使い分ける必要があります。
いわゆる“ノーマルダンシング”と“休むダンシング”です。
この2つのダンシングの一番の差は、ダンシングを使う目的の差です。
ノーマルダンシングは加速目的で、休むダンシングは脚を休ませる目的で使います。
ヒルクライム中は、目的や場面に合わせて、これらのダンシングを使い分けます。
休むダンシングを使いこなす自信がない方は、こちらの記事をご覧ください。
ダンシングのメリット
ダンシングは、シッティングと比べて
- 使う筋肉が変わる
- 大きな力で踏める
といったメリットがあります。
使う筋肉が変わる
シッティングとダンシングでは、フォームが少し違うため、使う筋肉が変わります。
ダンシングの方が重心が高くなりますので、股関節や膝関節が伸びた状態になります。
シッティングは、股関節や膝関節を深く曲げた状態からペダルを踏まなければいけません。
人間の体は、股関節の曲げる角度が変わると、働く筋肉が変わります。
そのためシッティングとダンシングでは、働く筋肉が変わります。
シッティングの姿勢は、ハムストリングスという太腿の裏側の筋肉が使いやすい姿勢です。
ダンシングの姿勢は、ハムスリングスよりも大臀筋というお尻の筋肉が使いやすい姿勢です。
つまりダンシングを活用すれば、シッティングで疲れたハムスリングスを休ませることができるんです!
大きな力で踏める
ダンシングの方が、大きな力でペダルを踏むことが出来ます。
ダンシングは体重をフル活用できるからです。
シッティングだとどうしても体重がサドルにもかかるため、ダンシングの方がペダルに体重をかけやすいはずです。
「じゃあ全部ダンシングで登った方がいいじゃないか」
と思う方もいるかもしれませんが、残念ながらそうはいきません。
次はダンシングのデメリットについて説明しましょう。
ダンシングのデメリット
ダンシングは、シッティングと比べて
- 心肺に負担がかかる
- ペダリング効率が悪い
といったデメリットがあります。
心肺に負担がかかる
ダンシングの方が体を大きく動かすため、心肺に負担がかかります。
ダンシングは、腕と脚の2点でしか体を支えられません。
そのためお尻で体を支えられるシッティングと比べて、体が不安定になります。
体が不安定になると、安定させるために体幹筋力を使わなければいけません。
この不安定さが、心肺機能に負担をかけます。
心肺機能に負担がかかると、息が切れやすくなってしまいます。
ダンシングをすると、すぐに息が切れてしまうように感じませんか?
それはダンシングの不安定さが、心肺に負担をかけているからなんです。
ペダリング効率が悪い
シッティングよりダンシングの方が、ペダリング効率が悪くなります。
これは初心者からプロまで、みんな共通の現象です。
なぜならダンシングの場合、下死点でペダルにかかる力をゼロに出来ないからです。
サドルで体重を支えられるシッティングの場合、4時以降はペダルにかかる力を抜くことができます。
でもダンシングの場合、反対脚に荷重ができる6時以降にならないとペダルの力を抜くことができません。
そのため、どうしてもダンシングでは、力のロスが出てしまいます。
これがダンシングだとペダリング効率が悪くなる理由です。
シッティングとダンシングのペダリングの違いについて、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧下さい。
場面別!ヒルクライムにおけるダンシング活用テクニック
ヒルクライムにおいて、ダンシングを有効に活用するのは
- 短い激坂を駆け上がる
- 長い激坂で筋肉を温存する
- 緩斜面で脚を休ませる
以上の3つの目的のためです。
詳しくみていきましょう。
短い劇坂を駆け上がる
ダンシングで大きな力を出せることを利用する場面です。
急勾配の終わりがすでに見えているような、短い劇坂でだけ有効なテクニックです。
長い劇坂をノーマルダンシングで駆け上がると、疲れすぎてしまうので注意しましょう。
もちろん短くてもハイパワーを出すと、疲労は少なからず蓄積されます。
でも、それを上回るメリットがあります。
基本的に、ロードバイクの速度は一定の方が、物理学的に有利です。
一定出力で劇坂を登ると、勾配がきつくなった分だけ速度が落ちます。
そのすると劇坂区間が終了した後、元の速度に戻すため加速しなければなりません。
この時加速に使うパワーは、減速しなければ必要なかったはずの無駄なパワーです。
一方、ダンシングで一気に激坂を駆け上がると、減速せずに走ることができます。
加速に使うための無駄なパワーのロスがなくせるわけです。
タイムを意識してヒルクライムをする場合、これは無視できないメリットですよね。
しかもダンシングなら、シッティングで使う筋肉を浪費せずに加速することができます。
以上の理由から、急勾配で減速しないようダンシングを使うのは、有効なテクニックです。
長い劇坂で筋肉を温存する
休むダンシングを使えば、長い激坂で筋肉(ハムストリングス)を温存できます。
先ほど、長い激坂でダンシングを使うと疲れすぎてしまう、という話をしました。
しかし休むダンシングなら、この心配はいりません。
もちろんパワーは出せないので、減速してしまいますが、長い激坂での減速は仕方ありません。
シッティングで長い激坂を登ると、ハムストリングスに負担がかかり続けるため、過剰な筋疲労を起こしてしまいます。
しかし休むダンシングも併用すると、ハムストリングスの負担を軽減できます。
長い激坂は、シッティングと休むダンシングを混ぜながら登ると、筋肉の負担を分散できて有効です。
緩斜面で脚を休ませる
緩斜面でも、休むダンシングで脚を休ませることができます。
緩斜面での休むダンシングは、ケイデンスが高くなるので、ダンシングスキルが必要です。
ダンシングスキルに自信がない方は、無理に使わなくてもいいと思います。
緩斜面なら、シッティングでギアを軽くしてペダルをクルクル回しても、脚は休められますからね。
またシッティングが極端に多い人は、ダンシングでお尻の負担を減らすというメリットもありますね。
緩斜面で、シッティングよりもダンシングの方が楽に感じる人は、使えるテクニックです。
まとめ
最後におさらいをしましょう。
ヒルクライムにおいて、ダンシングを有効に活用できるのは
- 短い激坂を駆け上がる
- 長い激坂で筋肉を温存する
- 緩斜面で脚を休ませる
以上の3つの場面です。
冒頭でも話したように、ダンシングは大きな武器です。
ダンシングを正しく使えば、今より速くヒルクライムできるようになります。
是非、賢くダンシングを使って下さい!
最後までお読みいただきありがとうございました。