こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
ロードバイクのペダリング中に足首が動いてしまうことをアンクリングといいます。
アンクリングは悪いことだと言われていますが、
「アンクリングしないためにはどうしたらいいのか?」
と悩んでいる方は多いのではないでしょうか?
今回のテーマは、足首の正しい使い方と、アンクリング対策です。
それでは参りましょう。
ロードバイクでの足首の正しい使い方
プロの足首の動き
プロはペダリング中、足首を大きく動かしません。
ペダルに対して踵が1〜2cm上がった状態を常に維持しながらペダリングしています。
実際に動画でご覧下さい。
足裏が後ろに向いたタイミングで踵が上がっているようにみえますが、足首はあまり動いていません。
こんなに勢いよく脚を動かしているのに、足首はほとんど動いていないなんて驚きですよね。
これがペダリング中の正しい足首の動きです。
そしてプロのペダリングにはもう一つすごいところがあります。
実はプロは、足首の力はあまり使っていません。
足首を動かさないようにすると、普通は力まなきゃいけないんですが、プロは必要最低限しか使っていません。
つまり踏む時だけ足首を固定する最低限の力を入れますが、それ以外(引き足)の時は脱力しているんです。
その結果、足首を疲れさせずに長時間きれいなペダリングをし続けているんです。
高速ペダリング中にそんな器用なことをしているなんて、やっぱりプロはさすがですよね。
アンクリングとは
ペダリング中に足首が不必要に動いてしまっていることを、アンクリングといいます。
踏み足で踵が下がりすぎ、引き足で踵が上がりすぎてしまう場合が多いようです。(たまに逆パターンの人もいます)
足首が動くと、何がそんなにいけないんでしょうか?
アンクリングのデメリット
アンクリングには
- 足の力がペダルに伝わらない
- ふくらはぎが疲労しやすい
- 足の痛みの原因になる
といったデメリットがあります。
要約すると、頑張って踏んでいるのに速度が出にくく、なおかつすぐに疲労して足を痛めてしまいます。
こうやって書くと最悪ですね(^_^;)
それぞれ詳しくみていきましょう。
足の力がペダルに伝わらない
踏み込みの際に踵が下がってしまうと、ペダルにいくはずの足の力が、なくなってしまいます。
実際に体験してみましょう。
- 座った状態で、小さな台(少年ジャンプのような分厚い本でも可)に片足の前半分だけ乗せてみましょう。
- その状態から踏み込んで、台に体重をかけてください。
- この時踵は足先より高い位置にありますよね?
- 今度は踵をつま先より低い位置にして踏み込んでください。
- 踏み込みづらくないですか?
踵を下げた状態で踏み込むと、ふくらはぎの筋肉が伸びます。
踏み込んだ力は、ペダルではなく、ふくらはぎの筋肉を伸ばす力に変換されてしまうため、力が伝わりません。
そのためアンクリングでは力のロスが発生します。
ふくらはぎが疲労しやすい
踵を必要以上に上げた状態で踏み込むと、ふくらはぎの筋肉が疲労します。
ふくらはぎの筋肉、正確には下腿三頭筋は、踵を上げる作用があります。
この筋肉のおかげで、踵を下げずにペダリングが出来ます。
しかし下腿三頭筋が必要以上に働くと、踵が上がりすぎてしまいます。
踵が上がった状態で踏み込んでいる人は、下腿三頭筋が必要以上に働いているため、ふくらはぎが疲れやすくなります。
痛みの原因になる
アンクリングは痛みの原因にもなります。
踵が下がってしまう人は、筋肉が伸ばされて負荷がかかります。
踵が上がってしまう人は、筋肉が働きすぎて負荷がかかります。
つまり踵が上がろうが下がろうが、どちらにせよ筋肉や関節に負荷がかかります。
その結果、足首や下腿三頭筋に痛みが生じてしまいます。
アンクリングは基本的に良くないものだというのはおわかりいただけたでしょうか?
では、アンクリングを直すコツを紹介していきましょう。
アンクリングせずにペダリングするコツ
股関節を大きく動かす
股関節の屈伸がしっかり出来ていれば、アンクリングが予防できます。
実は、アンクリングの原因の多くが、股関節が動いていないからです。
大半の人は、足首の問題ではありません。
どういうことでしょうか?
股関節の動きは膝の動きを決めます。
そして膝の動きは足首の動きを決めます。
試しに踵を持ち上げてみましょう。
膝も一緒に持ち上がりますよね?
このように足首(踵)の動きは膝、股関節の動きと連動しています。
股関節を曲げれば踵は上がり、伸ばせば下がります。
足首が動いてしまうのは、股関節がペダルに合わせて動かせていないからです。
特に上死点(0時の位置)で踵が下がってしまう方は、股関節の屈曲が不十分な可能性が高いです。
アンクリングしないコツは股関節をしっかり屈伸することです。
股関節の動かし方について、詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
足首を意識しない
アンクリングを直したいあまり、足首に意識がいきがちです。
でも絶対に足首に意識を向けてはいけません。
なぜなら、足首に意識を向けると、足首が力みすぎる上に、股関節の動きが悪くなってしまうからです。
ツールド沖縄で何回も優勝されている高岡亮寛選手の著書でも「末節(足首)にアプローチしても意味は少ない」と書かれています。
先ほども説明した通り、股関節を動かせばアンクリングは改善できます。
アンクリングを直したい場合でも、意識は股関節に向けましょう。
ポジションを見直す
アンクリングの原因として、股関節と並んで多いのが、ポジション不良です。
サドルの高さが代表ですが、サドルの前後やクリートの位置など、アンクリングの原因となりうる部分は無数にあります。
とりあえずサドルの高さをいじってみて、変化がなければ、バイクを買ったショップ等で見てもらいましょう。
また有料フィッティングサービスもオススメです。
関東にお住まいの方はACTIVIKEという理学療法士の運営するフィッティングサービスがオススメです。
筋トレをする
アンクリングの原因となる筋力不足は
- ハムストリングス
- 下腿三頭筋(非常にまれ)
の2つが考えられます。
ハムストリングスは太ももの裏側の筋肉で、ペダルを踏む時に、股関節の力を生み出す筋肉です。
ハムストリングスが不足すると、下腿三頭筋をたくさん使わなければならないため、踵が上がったペダリングになります。
トレーニング後に太ももの裏が疲れた経験がなければ、ハムストリングスが上手く使えていない可能性があります。
ハムストリングスの強化でアンクリングを直しましょう。
また、非常にまれですが下腿三頭筋の筋力が弱い方もいらっしゃいます。
片足で踵上げが出来ないくらい筋力が弱い方は、下腿三頭筋を強化しましょう。
ハムストリングスの強化
下腿三頭筋の強化
他にもロードバイクはいろいろな筋肉が必要です。
筋トレを検討している方は、こちらの記事もご覧下さい。
まとめ
最後におさらいしましょう。
- プロのペダリングは踵がつま先から1~2㎝上がった状態から、ほとんど動かない
- アンクリングの原因は足首ではなく、股関節
- 股関節を動かせば、アンクリングは直せる
- アンクリング対策に、ポジションの見直しも有効
アンクリング対策に足首の筋トレをすすめる情報が多いですが、残念ながらアンクリングはそんなに単純なものではありません。
しかし適切なアプローチをすれば、アンクリングは直せます。
この記事が、足首の問題に悩む方のお役に立てれば幸栄です。
最後までお読みいただきありがとうございました。