こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
ヒルクライムといえば減量!
そんな風潮がありますが、過度な減量はロードバイクのパフォーマンスを落とすことをご存知ですか?
あまりに体重にこだわる方が多いので、正しい知識を持って頂きたいと思い、今回のテーマを決めました。
今回は、ヒルクライムで重要なのは、体重よりも体脂肪率だというお話です。
体重を気にしている方は是非読んでいって下さいね!
ヒルクライムで重要なのは体重より体脂肪率
いきなり“ヒルクライムに体重は重要じゃない”と聞いても、信じがたいですよね。
プロでも「大会に向けて〜キロ減量した」なんて話をします。
ヒルクライム前に体重を減らすのは、プロでは当たり前の行為です。
でもプロの言う減量と、一般人の思う減量には、解釈に大きな差があります。
ここが注意してほしいところです。
一体どういうことでしょうか?
理由を説明していきましょう。
体重を減らすメリット
まずはヒルクライムで減量が重視される理由となる、減量のメリットについて説明しましょう。
体重を減らすの最大のメリットは、軽量化した分楽に登れるようになることです。
ヒルクライムは重力に逆らう競技ですので、体重が減れば登るのに必要な出力も減るのは、当然です。
1kgの軽量化で、乗鞍エコーライン(獲得標高1260m)のタイムが1分近く短縮できるという、報告もあります。
確かにこれだけ聞くと、「やっぱり減量って大事!」となってしまうのですが、そう単純ではありません。
なぜなら体重を減らすことだけを意識してしまうと、逆に遅くなってしまう可能性が高いからです。
実は減量には、厄介なデメリットがあります。
体重を減らすデメリット
体重だけを気にして減量すると、出力(パワー)が落ちます。
食事制限で減量した時に、最初に落ちるのは筋肉だからです。
運動に必要なのは糖質ですので、その糖質が不足していれば、持久力も落ちてしまいます。
せっかく減量しても出力が落ちてしまえば、速く走ることは出来ません。
さらに過度な減量は免疫力を落とすため、体調も崩しやすくなってしまいます。
つまり減量は、軽量化というメリットを上回る重大なデメリットがあるのです。
減量する際は、出力や免疫力を下げてしまう可能性があることに気をつけなければいけません。
出力を維持したまま体重を減らす方法
理想は出力を維持して減量すること
では減量しなくてもいいか?と言われれば、そうとも言い切れません。
理想は出力を維持したまま減量することです。
プロが言っている“減量”はこのことです。
でも出力を維持したまま減量するのは、かなり大変です。
実際プロも減量に失敗して体調を崩すこともあるそうです。
じゃあ素人が上手に減量できる方法はないのでしょうか?
素人でも上手に減量できるコツは、体重だけを見ないことです。
出力を維持したまま減量するために、便利な指標があります。
それが体脂肪率です。
体脂肪率を落とすことを意識する
出力を落とさずに減量したいなら、体脂肪率を減らしましょう。
先ほど、減量すると筋肉が落ちてしまう話をしました。
しかし筋肉ではなく、脂肪を落とすことが出来れば、出力を維持したまま減量できます。
脂肪を効率的に落とせているか測りやすいのが、体脂肪率なんです。
たとえば、体重と一緒に筋肉が落ちてしまうと、体脂肪率は横ばい、もしくは増加してしまいます。
反対に、体重と一緒に脂肪が落ちると、体脂肪率は減少します。
極論、体重が増えてても体脂肪率が減っていれば、速く登れるようになれるはずです。(体重分、筋力も増えているから)
いかに体脂肪率が重要かお分かり頂けたでしょうか?
体脂肪を落とす方法
筋肉を残しつつ、体脂肪を落とすには、食事制限はほどほどに、有酸素運動や筋トレをすることです。
幸いロードバイクは有酸素運動ですので、本来乗っていれば脂肪は自然に落ちるはずです。
ロードバイクに乗っているのに脂肪が落ちない人は、消費している以上に食べているからです。
要は食べすぎですね。
とはいえ、練習前の食事制限はハンガーノックを起こすため危険です。
となると、減らすべきは練習後または、寝る前です。
特に寝る前に食べる癖がある人は、すぐにやめましょう。
練習後とったエネルギーは回復に使われますが、寝る前にとったエネルギーは消化不良で回復にも使われないからです。
まとめると、体脂肪を落とすためには、ロードバイクにいっぱい乗り、練習後の食事量を少しだけ制限することです。
カロリー計算など、あまり詳しく書くと、ダイエット講座みたいになってしまうので、この辺までにしておきましょう。
後、筋肉をおとさないようにするために、筋トレももちろん有効です。
でもやりすぎると体重が増えすぎてしまうので、ほどほどにしておきましょう。
ヒルクライムの理想の体脂肪率
では理想の体脂肪率は何%くらいなのでしょうか?
プロの体脂肪率や脂肪の役割を踏まえて考えていきましょう。
プロ選手の体脂肪率
日本のプロ選手の場合、体脂肪率は5〜10%の選手が多いようです。
ツールドフランスに出るような海外のプロ選手は、4〜6%まで絞るようです。
ただしどの選手もこの体型を一年中維持するのは困難で、オフシーズンは10%を超えることもあるようです。
一般成人男性の平均体脂肪率が15〜20%であることを考えると、シーズン中はかなり絞り込んでいることが分かります。
脂肪を落としすぎるデメリット
日頃、太る原因として悪役扱いされる脂肪ですが、本来は生存のために必要なもので、ちゃんとした役割があります。
これを知らずに脂肪を落とすのは危険ですので、脂肪を落としすぎるデメリットも把握しておきましょう。
ハンガーノックに陥りやすい
脂肪がないと、いざという時にエネルギー不足に陥りやすくなります。
脂肪の役割は、本来エネルギーの貯蔵です。
体内にしまえる補給食のようなものですね。(分かりにくかったらすみません)
脂肪1kgには7200kcalのエネルギーが詰まっていますので、脂肪を燃焼すると大量のエネルギーが確保できます。
しかし脂肪を落としすぎていると、いざという時にエネルギーが確保できません。
常に補給を怠らなければいいですが、なかなかそうはいかないですよね。
脂肪を絞りすぎているプロ選手はこのデメリットを理解しています。
補給量を細かくちゃんと計算できる人でなければ、脂肪の落としすぎは危険です。
寒さに弱くなる
脂肪には保温機能があり、寒さから身を守ります。
脂肪を落としすぎると、冷気を防ぐことができず、低体温症などになる可能性が上がります。
特にダウンヒルは体が冷えやすいので、少しは脂肪があった方が安心です。
理想の体脂肪率
結論からいえば、理想の体脂肪率は8〜10%です。
まずプロの体脂肪率から考えると、おそらく人類の体脂肪率の限界は5〜6%前後のような気がします。
しかし、趣味のロードバイクに命をかけて限界に挑む必要はありませんので、5%にはしない方がいいでしょう。
次に10%以上の脂肪は必要ないと思います。
自転車に限らずマラソンなどの競技のプロ選手をみても、皆10%以下のようです。
実際に、僕の体脂肪率は9%前後ですが、ロードバイク生活で不便を感じたことはありません。
以上の理由から、大体の人は体脂肪率8〜10%に維持しておけば、危険はないと思います。
もちろんこれらには個人差がありますので、脂肪を落としてみて体調が優れなければ、10%以上に戻しましょう。
まとめ
いかがでしたか?最後におさらいをしましょう。
- ヒルクライムに重要なのは体重より体脂肪率
- 体脂肪を落とせば出力を維持したまま減量できます
- 体脂肪を落とすためには、練習後の食事を減らすのがオススメ
- 理想の体脂肪率は8〜10%
間違った減量をして、逆にタイムが遅くなってしまったという話をよく聞きます。
でもこの記事の知識があれば、減量の失敗は防げるはずです。
やり方次第で、減量は正義にも悪にもなります。
正しい減量でヒルクライムのタイム短縮を目指しましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。