こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
ヒルクライムってきついんですけど、楽しいですよね。
「もっとトレーニングして、もっと速くなりたい!」
と思っている方も多いのではないでしょうか?
でもヒルクライムのトレーニング方法っていっぱいありますよね。
どれが正しいんでしょうか?
そこで今回のテーマは、正しいヒルクライムトレーニングの方法です。
正しいトレーニングで、効率よく速くなりましょう!
正しいヒルクライムトレーニングの方法
乱立するトレーニング方法論
ヒルクライムのトレーニング方法っていろいろあって、どれがいいのか分かりませんよね。
大きく分けると
- 走行距離と獲得標高をとにかく稼ぐ、乗り込み派
- 峠を反復して何回も登る、峠反復派
- 短時間高強度の練習を反復する、インターバル派
の3種類に分類できるのではないかと思います。
一体どれが正しいトレーニング方法なのでしょうか?
正しいトレーニング方法とは?
どのトレーニングも正しいですが、間違ってもいます。
身も蓋もない話ですが、人によって正しいトレーニングは違うので、どれが正しい方法とは言い切れないからです。
乗り込みで伸びる方もいれば、インターバルで伸びる方もいます。
みんな自分が伸びた方法をオススメするので、たくさんの方法が乱立してしまっているんです。
ですので、正しいトレーニングを探すのではなく、自分にあったトレーニングを探す必要があります。
「結局それかよ!」と言われてしまいそうですが、もちろんこれで終わりではありません。
ですので本記事では、自分にあったトレーニングを探す方法をお伝えしたいと思います。
実際にどうやって探せばいいのか、解説していきましょう。
トレーニング選びで考えるポイント
自分に合う方法を正確に見つけるためには、結局いろいろなトレーニングを実際に試すしかありません。
かといって、手当たり次第にトレーニングを試すのは非効率です。
なるべく最初から自分に合ったトレーニングを始めたいものです。
安心してください。
ある程度自分に合うトレーニングを探すのに、簡単なポイントが一つあります。
それは“脚力”です。
脚力がない初心者と、ある程度脚力のついた上級者ではトレーニング内容が変わるのは当然です。
初心者がいきなり上級者と同じトレーニングをしてはいけません。
実は脚力を視野に入れるだけで、どのトレーニングが向いているのかある程度傾向が分かってきます。
そこで、初中級者と上級者に分けてオススメのヒルクライムトレーニングを紹介していきましょう。
なお、この記事で言う初中級者と上級者は、以下のレベルの方を指しています。
初中級者→完走は出来るけど大会上位には入れないレベルの方。
上級者→大会上位(上位1割以内)を狙いたい方を想定しています。
初中級者のトレーニング方法
トレーニングの基本
初中級者はとにかく“乗り込む”ことが大事です。
初中級者の場合、勝つことではなく、タイム短縮を目指したメニューが必要です。
タイム短縮に特に必要な能力は
- ペダリングスキル
- 筋持久力
- 全身持久力
の3点です。
これらを鍛えるのに一番効果的なのが、いろんな坂道や長い距離を走ることで、要するに“乗り込み”です。
1か月で1000~2000㎞を目標にするといいでしょう。
ツールド沖縄で2位になった松木選手は、毎月2000㎞の乗り込みで速くなったそうです。
中級者なら“峠反復”でもOKです。
具体的なメニューを紹介していきましょう。
トレーニングメニュー
LSD
Long Slow Distanceの頭文字で、ゆっくり遠くへ走る練習です。メニューの中で1番強度が低く、基礎固めに有効です。初心者〜上級者まで必要なメニューです。
効果
- ペダリングスキルの向上
- 全身持久力の向上
- 筋持久力の向上
方法
- ローラーや坂では難しいので、平坦な道で行いましょう
- 誰かとのんびり話しながら走れる速度で行います
- ケイデンスは90〜100bpm
- なるべく長時間行う必要があり、2〜8時間行うと有効
- 休憩は適宜、好きなだけとってOK
テンポ走
LSDと効果は似ていますが、LSDより時間が短く、負荷が上がります。特に筋持久力アップに効果的で、LSDをする時間のない初心者や、LSDでは強度の足りない上級者に有効なメニューです。
効果
- 筋持久力の向上
- ペダリングスキルの向上
- 全身持久力の向上
方法
- 平坦、坂、ローラー、どこでも可能
- 息が荒れない範囲で速く走りましょう(FTP80%、最大心拍75%前後)
- ケイデンスは70〜80bpm
- 1時間〜3時間
- 休憩は適宜OKだが、なるべく少ない方が望ましい
ペダリング練習
その名の通りペダリングスキルを向上させるトレーニングです。初心者ほどペダリングスキルが重要なので、最初はこのメニューだけでもOKです。このメニューだけは、3本ローラーでしかできません。
効果
- ペダリングスキルの向上
方法
- 3本ローラーで行うと有効
- 時間は10〜30分
- ギアはなるべく軽く(慣れてきたらどんどん軽くしていきましょう)
- ケイデンスは100以上
- 頻度は週1でもOK
LT走
“峠反復”派の人が行っている、峠を反復して全力で走るメニューです。中級者にとって、ヒルクライムのタイム短縮のために、1番効果的なメニューです。筋力と心肺(後ほど説明します)のどちらにも効果があります。十分なペダリングスキルが必要なため、初心者にはオススメしません。
効果
- 筋持久力向上
- 心肺機能向上
方法
- 坂、ローラーがオススメ(適した場所があれば平坦でも可)
- 最後まで走りきれる範囲で出来る限り速く走りましょう(FTP90%、最大心拍85%)
- ケイデンスは80~90bpm
- 10〜30分を2〜4セット行いましょう(合計30分〜1時間になるように)
- 休憩は走った時間の半分(5〜15分)、脚を止めずに軽く回しましょう
1週間のトレーニングメニュー例
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 | 日曜 |
休息 | ペダリング練習 | 休息 | LT走 | 休息 | テンポ走 | LSD |
時間のある土日で距離を稼ぎ、時間のない平日はペダリングスキルや高負荷のトレーニングを取り入れました。
余裕のある人は、休息日に筋トレを入れてもいいと思います。
詳しくはこちらを参考にして筋トレも行ってみて下さい。
上級者のトレーニング方法
トレーニングの基本
上級者からは“インターバル”が必要になってきます。
なぜなら大会で上位を目指す場合、集団に合わせた加減速や、劇坂で速度を殺さないテクニックが必須になるからです。
上級者に必要な能力は
- 心肺機能
- 筋持久力
の2点です。
特にインターバル耐性に大きく影響するのは心肺機能です。
上級者なら、ペダリングスキルや全身持久力はすでに身についているでしょう。
これらを鍛えるために、“インターバル練習”や“峠反復”をが必要になります。
おすすめのトレーニングメニュー
LT走
初中級者のメニューで紹介した通りです。上級者の方はすでにほとんどの人がやっているメニューだと思うので、このメニューの必要性は言わずもがな、ですね。
SI(スピードインターバル)
短い坂でのペースアップや、レース中のアタック対応力向上に有効なメニューです。心肺機能向上に1番効果的です。最短30分で終わらせることができるので、時間がない中上級者に人気のメニューです。めちゃくちゃきついですが(汗)
効果
- 心肺機能向上
方法
- 平坦、坂、ローラー、どこでも可能
- 最後まで走りきれる範囲で全開走(FTP110%、最大心拍90%以上)
- ケイデンスは90〜100bpm
- 3〜6分を2〜5セット行いましょう
- 休憩は走った時間と同じだけ(3〜6分)、脚を止めずに軽く回しましょう
VO2maxインターバル
なるべく高回転でペダルを回して心肺機能を向上させるメニューです。筋肉の負担が少ないことが特徴で、上級者はレースの前日などにも行っているようです。
効果
- 心肺機能向上
- ペダリングスキル向上
方法
- 平坦、坂(緩斜面)、ローラーで可能
- 最後まで走りきれる範囲で、全力で走りましょう(パワーや心拍は無視してください)
- ケイデンスは100bpm〜120bpm
- 2分を3〜5本行うことを1セットとし、2セット行いましょう
- セット中の休憩は2分、セット間の休憩は10分とる
筋持久インターバル
その名の通り、筋持久力アップに有効なトレーニングメニューです。効果はテンポ走と似ていますが、より強度が高く、短時間で終わる点が特徴です。
効果
- 筋持久力の向上
方法
- 坂、ローラーで行いましょう(平坦は不可)
- 最後まで走りきれる範囲で出来る限り速く走りましょう(FTP80〜90%、最大心拍80%)
- ケイデンスは60bpm前後
- 5〜20分を2〜4セット行いましょう(合計20分〜1時間になるように)
- 休憩は走った時間の半分(5〜15分)、脚を止めずに軽く回しましょう
1週間のトレーニングメニュー例
月曜 | 火曜 | 水曜 | 木曜 | 金曜 | 土曜 | 日曜 |
休息 | SI | 筋持久 | LT走 | VO2 | テンポ走+SI | テンポ走+LT 走 |
ヒルクライム力アップに有効なLT走とSIを中心にしたメニュー例です。
疲れやすいLT走の後には、休息日やVO2maxインターバルを入れることでオーバートレーニングを予防しています。
土日には、SIやLT走を行いつつも、テンポ走を混ぜることで基礎の強化も出来るようにしています。
ヒルクライム用のインターバルメニューについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
まとめ
最後におさらいをしましょう。
- 乱立するヒルクライム練習方法はどれも正しい
- 重要なのは自分に合う方法がどれか見つけること
- 脚力が自分に合うトレーニング方法を見つける目安になる
- 初心者は乗り込み、中級者は峠反復、上級者はインターバルを中心にすると良い
トレーニング方法の迷子になっている方に、少しでもお役にたてれば幸いです。
トレーニングメニューを立てる際に、頻度をどれくらいにしようかお悩みの方は、以下の記事も参考にしてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。