こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
ロードバイクのペダリングってどうするのが正しいのか分からなくて悩みますよね。
回した方がいいとか、回さない方がいいとか、いろいろな話があって困ってしまいます。
僕が思うに、ペダリング方法にばらつきがあるのは、意識すべき点が人それぞれで違うからではないかと思います。
特に初心者、中級者、上級者では、ペダリングの意識を変えないといけないのは、当然です。
今回のテーマは、そんな乱立したペダリングのコツをまとめ、実力別に紹介します。
ペダリングで悩む方の助けになれば幸いです。
正しいペダリングとは
ペダリングの上手さを決める要素
ペダリングには効率の良いペダリングと効率の悪いペダリングがあります。
効率の良いペダリングとは・・・
‟効率的な体の動かし方で、ペダルに効率的に力をかける”ことです。
‟体の使い方”と、‟力のかけ方”で分けて考えると分かりやすいです。
体の使い方
まずはプロのペダリングをみてみましょう。
知識がなくても、この動画だけでプロのペダリングがいかにすごいか分かりますよね。
ただ、何がすごいのかはよく分かりませんよね。
上手な人のペダリングは、股関節が大きく素早く屈伸します。
股関節は脚の付け根の関節であり、この関節が脚の動きを決めます。
ペダルの動きに対して股関節の動きが少ないと、その反動でお尻が跳ねたり腰がねじれたりしてしまいます。
ケイデンスに合わせて股関節を大きく素早く動かすことができることが、効率的なペダリングの重要な要素です。
ペダリングは脚の動きの起点である‟股関節の動き”が最も重要で、股関節で漕ぐペダリングをする必要があります。
力のかけ方
次に正しいペダリングをした場合、ペダルにどのように力がかかっているのか、みていきましょう。
正しくペダリング出来ていると
0時~2時:下向きの力が加わり始める
2時~4時:一番強く下向きへのトルク(力)が働く
4時~6時:後ろ向きのトルクに切り替わる
6時~12時:ペダルに加わるトルクはほぼゼロになる
という感じでペダルにトルクが加わります。
ペダリングが苦手な人は、4時~6時と6時~12時で、下向きのトルクがかかり続けてしまうのが特徴です。
6時の位置で下向きに力を加えても推進力にはならないので、無駄になってしまいます。
この無駄をなくすことが、正しいペダリングにつながります。
でも知っているだけでは、まだ正しいペダリングはできません。
上手な人はこんなに細かく力のかけ方を意識して漕いでいるわけではありません。
いくつかのコツをおさえるだけで、自然ときれいなペダリングになっているんです。
後ほど、きれいなペダリングになるコツを紹介しますね!
ただコツの話をする前に、もう少しペダリングの話をさせて下さい。
よく耳にする‟踏むペダリング”と‟回すペダリング”について知っておきましょう。
踏むペダリング、回すペダリング
踏むペダリングとは
踏むペダリングとは、0時~3時のタイミングでペダルを強く踏むことを意識したペダリングです。
正確には、0時~3時の下向きにかける力を重視したペダリングです。
このペダリングのメリットは、大きい力を出しやすいことです。
デメリットは、4時以降も力をかけ続けてしまう可能性があることです。
4時以降もペダルを踏み続けてしまうと、効率が悪くなってしまいます。
せっかく力強く踏んでも、全然速く走れません。
3時でペダルを踏むのをスパッときれいにやめる技術が必要です。
これが初心者にとっては、かなり難しいんです。
踏むペダリングはペダリングスキルが高い上級者向きのペダリングといえます。
回すペダリングとは
回すペダリングとは、ペダルの軌道に合わせて足を回すことを意識したペダリングです。
4時~6時に力の方向を後ろへ滑らかに変更し、6時~12時にペダルに下向きの力を発生させないことを重視したペダリングです。
このペダリングのメリットは、ペダリングの難しい部分を意識的に改善できる点です。
先ほど説明した通り、ペダリングが苦手な人は4時~12時で間違った力をかけてしまっている場合がほとんどです。
つまりペダリングの苦手な人ほど、回すペダリングでペダリング効率が上がります。
デメリットは、大きい力を出しにくいことです。
ペダルを回すことを重視しているため、どうしてもペダルを踏む力がおろそかになってしまいます。
ほどほどの速度までは大丈夫ですが、速い速度や急な坂道には向いていません。
どちらかといえば、初心者から中級者向きのペダリングです。
ペダリングは踏むべきか?回すべきか?
結局、ペダリングは踏むべきなのでしょうか?回すべきなのでしょうか?
結論は、その人のスキルや状況に応じて使い分けるのが一番です。
回すペダリングはペダリング効率を上げたい時に、踏むペダリングは高速走行時に使う、といった具合です。
ペダリングスキルの未熟な初心者は、常に回すペダリングでいいでしょう。
ペダリングスキルの完成した上級者は、踏むペダリングだけで走る人もいます。
どちらのペダリングがいいかは、技術や状況によって変わります。
詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。
ペダリングのコツ
初心者のペダリングのコツ
初心者がペダリングで意識すべき点は以下の2点です。
- 太ももを大きく上下させてペダリングすること
- 回すペダリングを意識すること
ペダリングスキルの発展途上の初心者は、股関節の動きが小さく、4時以降も下向きの力を加え続けるペダリングになっています。
ですので、まずはこれらの改善を意識したペダリングにしましょう。
股関節を大きく屈伸させるコツは、太もも(もしくは膝)を高く上げることを意識してペダリングすることです。
膝がおへその高さくらいまであがれば十分でしょう。
力のかけ方は、回すペダリングのイメージです。
回すペダリングについては、先ほど紹介しましたね。
4時以降は後ろ向きに、6時以降は上向きに力を加えるイメージでペダルを回すといいですよ!
以上の2点を意識してペダリングすれば、いつもより疲労しにくいことに気づくはずです。
ペダリング効率が上がれば、100㎞を疲労なく走り切ることも十分可能です。
2つを同時に意識するのが難しければ、1つずつできるようにしていって下さいね!
無意識に体が動くようになれば、脱初心者ですよ!
中級者のペダリングのコツ
中級者のペダリングのコツは以下の2点です。
- 巡航時は回すペダリング
- 高速走行時は踏むペダリングに切り替える
踏むペダリングのコツは、以下の2点です。
- 体重を使って踏む
- 3時で素早く力をかけるのをやめる
中級者はペダリングスキルの高い人と低い人が混在していますので、コツを絞るのが非常に難しかったです。
ただ全中級者に共通するのは、回すペダリングと踏むペダリングの両方を使い分ける必要があることです。
基本は初心者と同じように回すペダリング重視でいいのですが、高速走行に回すペダリングは不向きです。
中級者なら高速で走ることもありますので、踏むペダリングも使う必要が出てきます。
踏むペダリングは先ほど紹介した通り、0時~3時の間だけ下向きの力をかけることを重視します。
これだけなら簡単に聞こえるのですが、
- 体重を使って踏む
- 3時でさっと素早く踏むのをやめる
この2点を遂行するのが、実はかなり難しいんです。
ちゃんと踏まないと、ただの効率の悪いペダリングになってしまうので注意しましょう。
上級者になるためには踏むペダリングのマスターが不可欠です。
頑張って練習してみて下さいね!
上級者のペダリングのコツ
上級者のペダリングのコツは、以下の2点です。
- 常に踏むペダリングでOK
- 各筋肉を意識してペダリングする
上級者なら、4時以降の引き足はすでにマスターできていますので、踏むペダリングだけでOKです。
どんどん踏んで、どんどん速く走れるようになりましょう。
ペダリングスキルが完成された上級者がさらに速くなるには、筋力強化が必要です。
お部屋での筋トレも効果的なのですが、やっぱりロードバイク上でも筋肉を鍛えるべきです。
大事なのは、‟使う筋肉を意識してペダルを踏む”ことです。
覚えておいてほしいのは、体幹筋と大臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋です。
体幹筋と大臀筋は巡航中ペダルを踏む時に、ハムストリングスと大腿四頭筋は大きいパワーでペダルを踏む時に働く筋肉です。
それぞれの状況で、以下の筋肉を使ってペダルを踏むことを意識しましょう。
- 普段→体幹筋と大臀筋
- エアロフォームや急な坂道→ハムストリングス
- アタックやスプリント→大腿四頭筋
踏み終わった後に、狙った筋肉が疲労していれば正しく筋肉が使えている証拠です。
動作中に使う筋肉を変えるというのは、僕ら理学療法士でも難しいことで、地道な練習が必要です。
力の入れ方が全く分からない方は、まずは筋トレで使い方を覚えましょう。
大丈夫!上級者の皆さんならきっと出来るようになるはずです!頑張って下さいね!
フォームもペダリングと同じくらい大事
ここまでペダリングの話をしてきましたが、フォームもペダリングと同じように大事です。
間違ったフォームではきれいなペダリングは出来ません。
ロードバイクの正しいライディングフォームは、以下の3つのポイントを意識するだけで獲得できます。
- 腕全体の力を抜く
- 骨盤を前傾させる
- 胸をはる
特に上の2つが重要ですので、その2つを意識してロードバイクに乗るようにしてみて下さい。
詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
最後におさらいをしましょう。
ペダリングのコツは初心者、中級者、上級者で変わります。
初心者のうちは、太ももを大きく上下させて回すペダリングを意識して下さい。
中級者になると、高速走行時は踏むペダリングも使うようにしましょう。
踏むペダリングは、体重を使って踏み、3時以降は素早く力を抜くのがコツです。
上級者は踏むペダリングのみでOKです。
ただしペダルを踏む時に、大臀筋を使ったり、ハムストリングスを使ったり、状況に応じて使う筋肉を変えられるようにしていきましょう。
これらが全て出来ればペダリングは完璧です。
後は完成度をあげつつ、どんどんパワートレーニングをして脚力をつけていきましょう。
ペダリングは今後のトレーニングの伸びしろを決める重要な要素です。
きれいなペダリングの人は、今後の伸びしろに期待できるでしょう。
早いうちにペダリングスキルはマスターしておきたいところですね!
頑張りましょう!
ちなみにペダリングスキルを向上する練習方法をまとめた記事がありますので、よければご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。