こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
ロードバイクでヒルクライム中にギアが足りなくて困った!なんて経験はありますか?
僕は今でもしょっちゅうあります。(疲れ切った時なんか特に)
でも軽いギアに変えるのは負けた気がするし、軽くしすぎるのはデメリットもあります。
そもそもヒルクライムに最適なギア比ってどれくらいかご存知ですか?
そこで今回のテーマはヒルクライムに最適なギアについてです。
トップクライマー達の選択しているギアも参考にしながら紹介していきますね!
ヒルクライムに最適なギア
結論から言えば、ヒルクライムにはフロントが50-34T、リアが11-28Tか11-32Tにするのが最適です。
まずフロントを50-34Tにする理由は、ヒルクライムで重いギアは必要ないからです。
ヒルクライムで50Tより上の歯数が必要になる場面はありません。
次にリアを11−28か11−32Tにする理由を説明しましょう。
それは、トップクライマー達が乗鞍エコーラインで28T(正確には36×30Tですが)のギアを選択しているからです。
一般人より高速で走るトップクライマーが28Tを使用しているなら、一般人はそれより軽いギアでいいはずですよね!
つまり一般人は28Tより小さい歯数にする必要はない、というだと思います。
逆に、28Tより軽いギアにできる32Tを選択するのは有効です。
乗鞍よりも急斜面をメインに登る方や、脚力に自信のない方は、11−32Tを選択してもいいと思います。
トップクライマー達がどんなギア比でレースに出ているのか、詳しくみてみましょう。
トップクライマー達のギア
富士ヒル上位者のギア
※ 以下、フロント×リアのギアの組み合わせです。 選択した選手が多いギアを色付けしました。
- 50-34T×12-25T:板子佑士選手(2018)、森本誠選手(2016)、兼松大和選手(2016)
- 50-34T×12-28T :渡辺佑樹選手(2016)
- 52-39T×12-28T:武田祥典選手(2018)
- 42T×リア12-25T:田崎友康選手(2016)
富士ヒルのコースとなっている富士スバルラインは、平均勾配が5%と緩斜面中心であることが特徴です。
そのため全体的に重いギアを選択している選手が多い傾向があります。
ただ、それでもフロントは多数がコンパクトクランクを選択していますね。
ちなみに34T×25Tでケイデンス90bpmだと、時速15.4km/hになります。
乗鞍ヒルクライム上位者のギア
- 50-36T×11-28T:中村俊介選手(2019)
- 34T×12-25T:森本誠選手(2019)
- 52-36T×11-30T:中川真也選手(2019)、橋本謙司選手(2019)、牧瀬翼選手(2019)
乗鞍ヒルクライムのコースとなる乗鞍エコーラインは、平均勾配は6%ですが所々10%前後まで斜度が上がる、いわゆる中級峠です。
気になるのはフロントは少し重めのセミコンパクトを選択し、リアに28T以下の軽めのギアを選択する選手が多いことでしょう。
ヒルクライムであえてセミコンパクトにする理由は見つからないので、おそらくロードレースも考慮したセッティングなんじゃないかと思います。(詳しくは「フロントとリア、どっちを軽くすべき?」の章で)
36T×30Tのギアと34T×28Tのギアはほぼ同じ軽さになります。
36T×30Tと34T×28Tのどちらも、ケイデンス90rpmだと時速13.6km/h程度になります。
ギアを軽くするメリット
ギアを軽くするメリットは、きつい坂でもケイデンスを高くできることです!
ではケイデンスを高くできるとどんなメリットがあるのでしょう?
みていきましょう!
筋肉の負担を減らせる
ケイデンスを落とさず高い状態を維持できた方が、筋肉の負担を減らせます。
出力が同じ場合、ケイデンスが高いほどトルク(ペダルの重さ)は減るため、少ない力でペダルを回せます。
その結果、筋力を温存できるわけです。
終盤で筋肉が疲れて踏めなくなってしまったり、ペースアップに向けて脚を温存したりする時に、筋力の温存は大切ですね。
加減速に対応しやすい
基本的にケイデンスが高い方が、ペースの上げ下げに対応できます。
ペースアップをする時、大抵の人はケイデンスを上げて加速し、後でギアを重くして高速巡航に移ります。
信号待ちから発進する時に重いギアで発進しないのもこのためです。
軽いギアからケイデンスを上げて加速した方が加速しやすいんです。
そのため、軽いギアの方が集団の加減速に柔軟に対応できます。
激坂が楽
激坂ではもちろん軽いギアが大活躍します。
激坂ではギアが足りなくなり、非効率な低ケイデンス走行になりがちです。
軽いギアなら効率的に疲労を減らしながら激坂を攻略できます。
激坂で軽いギアは正義です。
低速で登りやすい
軽いギアだと、あえて低速で登る場合に、楽に走ることができます。
例えば初心者の友人を誘ってヒルクライムをすることがありますよね?
そんな時にギアが軽くできないと、低ケイデンスでえっちらおっちら速度を合わせないといけません。
でも軽いギアならクルクルとペダルを回しながら、楽に併走できます。
のんびり走るなら軽いギアが一番です。
ギアを軽く出来るスプロケットのデメリット
ギアを軽くできるスプロケットにすると重いギアに出来ないのでは?と考える人がたまにいますが、そこは心配ありません。
たとえば32Tのスプロケットは11Tにも対応していますので、重いギアにすることもできます。
ではギアを軽くできるスプロケットのデメリットは何があるのでしょうか?
ギアの細かい調整ができない
32Tに対応するスプロケットは、ギアの重さの微調整ができません。
アルテグラの11-32と12−25のスプロケットの歯数を比較してみましょう。
11-32T:11-12-13-14-16-18-20-22-25-28-32
12-25T:12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25
気づきましたか?
11-32Tは後半にかけて歯数が2〜4飛ばしになっているのに対して、12-25Tは後半も2飛ばしまでです。
つまり、シフターをワンクリックした時に、11-32Tだとギアが大きく変化してしまうのです。
細かくギアの調整をしたい場合は、11-32Tだと不利になります。
息が切れやすい
ケイデンスが高い方が筋肉の負担が少ないという話をしましたが、その分負担がかかるところがあります。
心肺機能です。
要はケイデンスが高いと息が切れやすくなります。
たとえばケイデンスを150bpmとかにすると、速度がゆっくりでも息が切れますよね?
ケイデンスが高ければ心肺が、低ければ筋肉が負担を受けるわけです。
ヒルクライム中に無理にケイデンスを上げると心肺が疲れてしまいますので、心肺が弱い方はギアを軽くしすぎない方がいいでしょう。
筋力がつかない
軽いギアでトレーニングしても、筋力はつきません。
練習中は一番軽いギアは封印し、本番だけ使うようにすれば問題ありません。
でもそこまでメンタルが強い人ばかりじゃないですよね?
やっぱりつらいトレーニング中に、軽いギアが残っていれば、使ってしまいますよね。
その結果、ヒルクライムに必要な筋力がつかないという悲劇が起こってしまいます。
筋力強化という観点では、トレーニングで軽すぎるギアは使わない方がいいでしょう。
フロントとリア、どっちを軽くすべき?
ギアは基本的に、フロントとリアの組み合わせで決まります。
フロントを軽くしても、リアを軽くしても理論的には同じなんですが、微妙に違う点があります。
フロントとリア、どちらを変えようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
ロングライド 、ヒルクライム重視の人
“レースはヒルクライムしか出ない”
“下りで踏むことはない”
という人は、まずフロントをコンパクトクランク(50-34T)にして、軽くしましょう。
コンパクトクランクの欠点は、フロントを50Tまでしか重くできないことですが、下りを含むロードレース以外で52Tや53Tは不要です。
ちなみに僕は、時速60kmを超えると52Tが必要だなと感じます。
ですのでヒルクライム重視の方は、軽いギアに対応出来るコンパクトクランクで十分です!
その後でスプロケットの交換を検討しましょう。
ロードレースにも出る人
ロードレースも視野に入れている人は、ギアの微調整を犠牲にしてリアから軽くするのもアリです。
ロードレースでは時速60kmを越えることもありますので、ノーマルクランク(53-39T)やセミコンパクトクランク(52-36T)が必要になります。
まとめ
最後におさらいをしましょう。
- ヒルクライムにはコンパクトクランクがオススメ
- スプロケットは28T〜32Tを選択しましょう
- ロードレースにも出るならフロントは要検討
ギアを考える参考になったでしょうか?
最適なギア選択はトレーニングの効率を上げ、本番で力を発揮するのを助けてくれます。
ギアを交換したら、さっそくヒルクライムをしにいきましょう!
こちらの記事にヒルクライム用のトレーニング方法を紹介していますので、ご覧下さい。
最後までお読みいただきありがとうございました。