こんにちは、坂バカ理学療法士のわさおです。
筋肉はロードバイクを漕ぐ際に、欠かせない存在です。
しかし、ペダリングのどのタイミングでどの筋肉を使っているか答えられる人は少ないんじゃないでしょうか?
様々な筋トレが紹介されていますが、速く走れるようになるために、どの筋肉を鍛えたり、意識したりするべきか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、ペダリングに必要な筋肉、不足しがちな筋肉について紹介します。
それでは参りましょう!
ロードバイクのペダリングに必要な筋肉
鍛えるべき3つの筋肉
結論からいえば、速くなるために鍛えるべき筋肉は、腸腰筋と大臀筋、体幹筋の3つだけです。
順を追って理由を説明していきますね。
必要ない筋肉はない
ペダリングに使う筋肉は何種類あるかご存知ですか?
実は300種類以上の筋肉を使っています。
「ロードバイクに上半身の筋肉は必要ありませんか?」
「ふくらはぎの筋肉は鍛える意味がありますか?」
なんて質問を耳にしますが、そもそも必要ない筋肉など存在しません。
会社で働く社員のように、みんなそれぞれ役割を持って働いています。
特集されているような筋肉は、そのうち一部の筋肉をピックアップしているだけです。
もう少し詳しく説明していきましょう。
筋肉には関節を動かすだけでなく、固定する役割があります。
ロードバイクを漕ぐときに、両手放しだと強い力が出しにくくなりますよね?
ハンドルに手を置くと力が入りやすいのは、ハンドルから手首、肘、肩、体幹、股、膝、足首を通してペダルを踏む力に変換されているからなんです。
これらの関節を固定して力を伝達させるのは筋肉の役目です。
つまりただペダルをこぐだけでも、手から足にいたる全ての筋肉が必要になります。
ペダリングには必要のない筋肉はなく、どの筋肉も重要な役割を持っているのです。
でも全ての筋肉が同じだけ働くわけではなく、たくさん働く筋肉とあまり働かなくてもいい筋肉があります。
また何もしなくても十分強い筋肉と、不足しがちな筋肉もあります。
問題は、たくさん働かないといけないのに不足しがちな筋肉があることです。
それらの筋肉をペダリングで上手に使えるようにしなければいけません。
では、ペダリングでたくさん働かなくてはいけない筋肉とは何でしょうか?
ペダリングで主に使われる筋肉
ペダルを踏む時( 0時~6時)に使う筋肉
- まず体幹筋、大臀筋、大腿四頭筋、内転筋が活動する
- 1時あたりからハムストリングスが活動する
- 3時あたりから下腿三頭筋が活動する
イメージとしては体幹筋から股関節筋、膝関節筋、足関節筋の順に活動していきます。
ペダルを引き上げる時(6時~12時)に使う筋肉
- まず体幹筋、腸腰筋、前脛骨筋が活動する
- 10時あたりから大腿直筋(大腿四頭筋の一部)が活動を始める
踏む時と違い、引き上げる時は体幹筋、股関節と足関節筋が同時に活動するイメージです。
全ての筋肉を鍛える必要はない
ペダリングにいろいろな筋肉が必要になることが分かりましたが、これらを全て鍛える必要はありません。
ポイントは各筋肉のバランスです。
ペダリングが上手な人は、各筋肉が絶妙なバランスで協調して活動しています。
反対にペダリングが苦手な人は、このバランスが破綻しています。
例えば大臀筋が弱い人は、大臀筋と大腿四頭筋が50%ずつ使うべき場面で、大臀筋を20%、大腿四頭筋を80%の割合で使ってしまいます。
この状態で速く走ろうとすると、大腿四頭筋にすぐに限界がきて、疲れてしまったり痛めてしまったりします。
筋力の合計値を鍛えるのも重要ですが、まずは各筋力のバランスを整えることが、速くなる近道です。
不足しがちな筋肉
筋肉のバランスを整える方法は、不足している筋肉を鍛えることです。
やっかいなことに、筋力バランスは人それぞれです。
大腿四頭筋が特に発達している人もいれば、下腿三頭筋が特に発達している人もいます。
僕が理学療法士として仕事をするときは、各筋肉の力を個別に評価して、一人一人に合わせた筋トレを提案します。
でも一般の方はそんなことできませんし、そこまでする必要はありません。
なぜなら、速く漕げない人が不足している筋肉は、ほとんど皆共通しているからです。
つまりとりあえず不足しやすい筋肉を鍛えておけば、ほとんどの確率で速く漕げるようになるということです。
不足しやすい筋肉は
- 腸腰筋
- 大臀筋
- 体幹筋
の3つの筋肉です。
まずはこれらの筋肉の役割について知った上で、トレーニング方法を紹介していきますね。
腸腰筋と大臀筋の役割
腸腰筋とは
腸腰筋は股関節前側の奥深くにある筋肉です。
深いところにあるため、普通は触れません。
股関節の屈曲させる作用があります。
大臀筋とは
大臀筋はお尻の上側にある筋肉です。
簡単に触れるため、ちゃんと力が入っているか確かめやすいです。
股関節を伸展させる作用があります。(正確には外旋作用もありますが、必要ない知識なので今回は無視します)
ペダリングにおける役割
腸腰筋はすばやい引き足、大臀筋は踏み足で体重をかけるために必要になります。
腸腰筋が不足すると、ペダリング中6時〜12時で下向きの力が生じてしまい、ペダルのスムーズな回転を妨げます。
大臀筋が不足すると、ハムストリングスや大腿四頭筋などの筋肉が必要以上に働かなくてはいけません。
ハムストリングスや大腿四頭筋は大きな力を出すことには向いている反面、持久力がありません。
これらの筋肉を頼っている人が高速巡航やヒルクライムをすると、すぐに疲れてしまいます。
腸腰筋はペダリング効率アップ、大臀筋は持久力アップに、特に重要な筋肉です。
股関節筋について詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧下さい。
体幹筋の役割
体幹筋とは
体幹筋とは胸やお腹、背中、腰にある筋肉の総称です。
このうち不足しやすい体幹の深部筋、いわゆるインナーマッスルをここでは体幹筋と表現させて下さい。
ペダリングに必要な体幹筋は、腹横筋と腹斜筋、多裂筋、腰方形筋などがありますが、筋肉名を覚える必要はありません。
全て作用が似ていて、同時に活動するため、まとめてトレーニングするからです。
これらの体幹筋は、骨盤や腰をブレないよう安定させる作用があります。
ここで注意してほしいのが、固定ではなく安定という言葉を使ったことです。
腰を全く動かさないようにするのではなく、必要な分だけ適切に動かせるようにするという意味です。
ペダリングにおける役割
体幹筋は脚を動かすための土台を作ります。
脚を動かすために必要なので、ペダリングの0時〜12時で常に休まず働き続けます。
もし体幹筋がなければ、ハンドルにしがみついて体を支えるしかないでしょう。
体幹筋のおかげでペダリングをしながらいろいろな姿勢をとったり、ペダルに体重をかけたりすることが出来ます。
ハンドルにどうしてももたれかかってしまう人は、体幹筋が不足している可能性が高いです。
筋トレの方法
腸腰筋、大臀筋、体幹筋のトレーニング方法はこちらの記事をご覧下さい。
まとめ
最後におさらいしましょう。
- ペダリングに必要ない筋肉はない
- 重要なのは各筋肉のバランス
- 不足しやすい筋肉を重点的に鍛えてバランスを整えましょう
- 不足しやすいのは腸腰筋、大臀筋、体幹筋
筋肉は奥が深く、自由に扱うのは難しいものです。
残念ながら、筋肉をちゃんと扱える人は少ないようです。
ですが正しい知識と練習によって、筋肉は自由に扱うことができるものでもあります。
ペダルを踏む力を決めるのは、体重ですが、体重の力をペダルに伝達するのは筋肉ですので、筋力が脚力を決めると言っても過言ではないでしょう。
筋肉の使い方が分かれば、確実に今より速く走れるようになるでしょう。
この記事が少しでもお役に立てれば光栄です。
最後までお読みいただきありがとうございました。